エコツアー「歴史の残る街歩きと里山散策」

平成201018大石 章(NPO法人天覧山・多峯主山の自然を守る会 

 

明治期に建てられた店蔵造りなど古い街並みが残る飯能の市街地を散策後、市民、企業、行政が協働して保全している天覧山の谷津田で自然観察を行うエコツアーです。昼食には、特別メニュー、天覧山でとれた幸を使ったムカゴご飯。秋空の下、ここでこの季節しか味わえない“山ごはん”をご賞味ください。

当会は、毎月第2日曜日に自然観察会を開催していますが、今回はその全国雑木林会議エコツアー・バージョンで、初めて街歩きを組み合わせてみました。当日集合時間9時30分には、遠く北海道や三重県なども含め参加者9人全員が飯能駅に集まりました。これは時間に10分以上の幅がある「飯能時間」で動いている当会事業にはきわめて珍しい事態です。空は秋晴でれ、順調にスタートしました。

ガイドは、当会理事で、飯能の生き字引・浅見賢治さんと、天覧山の動植物全般が分かる(財)日本生態系協会の市川和男さん。まずは浅見さんの案内で街中を歩いていきます。

浅見さんの口からは、明治○年、大正○年、昭和○年という言葉がぽんぽんと飛び出し、西武鉄道前身の武蔵野鉄道本社敷地跡に建つ飯能織物協同組合の大正洋風建物、市に寄贈され復元修理の後に今年から公開された元絹問屋の店蔵「絹甚」、飯能河原から始まった武州一揆、観音寺や能仁寺を炎上させた飯能戦争などの説明に、参加者は興味深く聞き入っていました。

大正時代の建築である飯能織物組合について説明(右から2番目のこちらを向いている方が案内の浅見さんです。)

天覧山入り口からは市川さんにバトンタッチして、残念ながら顔を見せなかったムササビの巣穴などを見ながら、当会が保全・トラスト運動(買取)を進めている谷戸「東谷津」に到着すると、ムカゴご飯、豚汁、ハブ茶が参加者を歓迎です。天覧山のヤマノイモのムカゴを入れて軽く塩を振って現地のかまどで炊いたご飯は、参加者には「話に聞いて一度食べたかった」「これを食べたくてこのツアーを選んだ」と好評で、皆さんお代わりをしていました。

雑木林の中で樹木の説明(正面奥の笑っている方が案内の市川さんです。)

東谷津での間伐、ため池整備、アカガエルの産卵などの話を聞いた後、当会も参加して市民、企業、市が協働で里山整備を行っている谷戸「天覧入り(愛称:ホタルの里)」へ急坂を越えて向かいます。

天覧山の東谷津で、ムカゴご飯を食べた後、里山整備について説明(正面のパネルを持っている方が早瀬さんです。)

赤トンボ、キタテハ、ヒョウモンチョウが飛ぶススキ原は美しく輝き、カヤネズミの巣を観察したり、里山整備の状況などを説明しているとあっという間に時間が迫ってきます。天覧山入り口の能仁寺に予定の2時前に戻り終了となりました。

アンケート結果では、ツアーには皆満足いただき、「昔の町並みをまた歩きたい。自然観察はゆっくりとしたペースで楽しめた。」「またこのようなイベントがあれば参加したい。」などの声が寄せられました。