もくじ
@年頭に寄せて/浅野正敏
A2006年のあゆみ
B天覧山・多峯主山の四季
〜霜景色の号〜 市川 和男
C第2回 守る会主催
エコツアーin東やつ ミニ写真集
D編集後記
※当会のホームページアドレスが変わりました。どうぞおいでください!
http://www.tenranzan.com/
@年頭に寄せて
たくさんの人たちの想いを寄せ合い、再出発の年!
当会は、バブル景気崩壊後の1995年に始まった自然環境保全の市民運動でありましたが、発足以来10年目(2005年1月)に天覧山・多峯主山周辺に計画されていた団地開発が撤回され、最大の目的が達成されました。その後、会では確実に豊かな自然環境を後世まで保って行けるよう活動を続けてゆくことを決め、2006年12月よりNP
O法人として再スタートを切ることになりました。
ホタルの里の湿地再生に向けて
開発の止まった天覧山・多峯主山周辺の一画(通称ホタルの里)を地権者(西武鉄道)より飯能市が借り受け、市民の里山として豊かな自然環境を保全して行こうという具体的な話が進んでいます。ホタルの里の湿地環境再生作業(草刈りや田圃づくりなど)の取組みには、自治会や学校など、より多くの市民の参加が望まれるところです。そうした広がりを持たせる役目を担うのが「はんのう市民環境会議」です。当会も市民環境会議の登録団体として連携を図っており、里山環境づくりに主体的に取組んでいるところです。多くの市民の参画を進めてゆく中では、保全の方法や考え方の違いが出てくると思いますが、議論を重ね、最終的に合意を得て、皆で守るべき事項を文章にまとめておくことがとても大切になって来ます。これまで当会がまとめてきた「保全案」をより多くの市民と共有したものにしてゆくのが、NPO法人スタートに当たっての重要な事業の1つとなります。
「てんた里山基金」の設立
イギリスでは100年以上も前に、失われゆく美しい自然環境や歴史的な建造物を守るため、国民主体の買い取り・寄贈・遺贈による保護管理を行う「ナショナル・トラスト」が発足しました。「ピーター・ラビット」で有名な湖水地方の景観が「ナショナル・トラスト」によって残されているのは有名です。このナショナル・トラスト運動は日本においては、1964年鎌倉で保護運動が立ち上がったのが最初です。以後、全国各地で運動が広がっていますが、近くでは狭山丘陵にあるトトロの森のトラスト保全が有名です。
当会ではこれまで、天覧山北東側にある休耕田(東やつ)の一画を借り受け、米づくりや溜め池づくりを行うなど、里山環境の持続可能な方法を実践して来ました。この土地について、地主さんとの協議の上、恒久的に環境維持を図ってゆくために当会が買い取り、保全してゆくナショナル・トラスト運動を展開してゆくこととなりました。土地取得後は市民誰もが訪れ、楽しむことができるようにしていきます。
つきましては、「てんた里山基金」を設立しましたので、皆さんからの寄付のご協力をお願いする次第です。「1人の1万ポンドの寄付よりは、1万人の1ポンドずつ」がナショナル・トラストのモットーです。たくさんの人たちの想いが込められた支援が頂けたら幸いです。
A2006年のあゆみ
1月 1日 ◇ふるさと散歩「初日に祈る山歩き」の巻
1日 ◇やませみ45号発行
18日 ◇西武鉄道との面談(里山環境の保全と手入れについて)
飯能市担当職員同行
22日 ◇奥むさし環境講座「自然環境保全型のNPOを学ぶ」
2月11日 ◇谷津田の手入れ作業(エコツアー準備作業)
12日 ◇ふるさと散歩「冬山のバードウオッチング」の巻※
◇「地球交響楽?第5番?」上映会 守る会後援
3月 1日 ◇市民案づくり
4日 ◇ふるさと散歩「ホタルの里の水辺づくりツアー」の巻
環境省エコツーリズム推進モデル事業として実施
7日 ◇「ホタルの里の水辺づくりツアー」NHK番組にて放映
9日 ◇「ホタルの里の水辺づくりツアー」NHK番組にて放映
26日 ◇谷津田の手入れ作業
31日 ◇武蔵丘地域が市街化調整区域に正式編入される
4月 9日 ◇ふるさと散歩「さくら、さくら、山桜」の巻※
16日 ◇総会、懇談会
30日 ◇谷津田の手入れ作業
5月10日 ◇第一小学校4年生総合学習支援(室内)
14日 ◇ふるさと散歩「新緑の多峯主山を歩く」の巻※
15日 ◇やませみ46号発行
◇第一小学校4年生総合学習支援(フィールド)
26日 ◇パノラマ風景画家・友利宇景氏に「奥武蔵鳥瞰図」制作依頼
6月26日 ◇谷津田の手入れ作業
26日 ◇ふるさと散歩「ホタルの夕べ1」の巻
7月 2日 ◇ふるさと散歩「ホタルの夕べ2」の巻
24日 ◇谷津田の手入れ作業
31日 ◇現地調査と市民案づくり
8月 1日 ◇(財)自然保護助成基金に応募申請提出
6日 ◇ふるさと散歩「水と遊ぼう」の巻※
8日〜13日◇エコツアー写真展、ギャラリー・ゼフィルスにて
25日〜27日◇世界の大昆虫展&里山の虫たち、 ギャラリー・ゼフィルスにて
27日 ◇谷津田の手入れ作業
9月17日 ◇ふるさと散歩「秋の草花をみよう」の巻※
25日 ◇谷津田の手入れ作業
10月 1日 ◇臨時総会(NPO設立総会)、スライド上映会、懇談会
4日 ◇NPO法人認可申請提出
12日 ◇ホタルの里保全について飯能市環境緑水課との打合せ
15日 ◇やませみ47号発行
21日 ◇谷津田の手入れ作業(エコツアー準備作業)
29日 ◇ふるさと散歩「ホタルの里の水辺づくりツアー2」の巻
環境省エコツーリズム推進モデル事業として実施
11月12日 ◇ふるさと散歩「クマタカが見えるかも?」の巻※
22日 ◇飯能市市議会全員協議会において、 飯能市は、天覧山周辺32,8haを景観緑地に指定する方針を発表
24日 ◇理事会
26日 ◇谷津田の手入れ作業
12月 3日 ◇ふるさと散歩「山の恵みでリース作り」の巻
25日 ◇谷津田の手入れ作業
この他に、毎月2回の定例会、やませみ編集会議、やませみ配布、ホームページ更新などを実施。
表中の※印は、「はんのう市民環境会議」との共催事業。
紅葉も終わり最低気温が5℃を下回る穏やかな星空の下、地表は放射冷却によって冷やされ、里山は霜化粧の静かな朝を迎えます。雑木林の林床ではコウヤボウキが見事なドライ・フラワーとなり、枝に残るヤマコウバシの枯葉だけが朝陽に照らされ、雑木林にコントラストを添えています。
雑木林を抜け、天覧入りの湿原を進むと時々「フィー、フィー」と口笛に似た声が草薮から聞こえてきました。そっと首に下げた双眼鏡を草薮に合わせると、いました。7羽のウソの群れです。ウソは草薮に横たわるススキの茎につかまり、茎に絡んだカナムグラの穂先をついばんでは小さな嘴の中で種子だけを取り出し食べています。群れの中にはローズピンクに頬を染めた3羽の雄が見えます。きっと、カナムグラがビールの苦味に使われるホップの親戚だから……そんなウソも簡単に通じてしまうほど見事なローズピンクの頬をしていました。
陽が高くなるにつれて霜は溶け、雑木林の陽だまりには暖かな空気が流れ始めました。その上空を「ジャッ、ジャー」と鳴きながら黒い影が通過していきます。カケスです。1羽、また1羽、今度は2羽、カケスは後を追うように次から次へと続き、谷の暗い樹林の中へと入っていきます。20分も経過したでしょうか、今度は暗い樹林から1羽、また1羽とカケスが出て、明るい雑木の中へと入っていきます。すると、別のカケスがまた暗い樹林の中へと逆のコースを辿ります。飛んでいるカケスをよく眺めると、暗い樹林からやってくるカケスは皆、嘴に何かを咥えています。双眼鏡で眺めてみると、どうも咥えているのはドングリのようです。カケスは長い冬に備え、食料であるドングリを運んでいたのです。ニホンリスやアカネズミ、カケスやヤマガラなどは木の実が熟すと土の中や落葉の下、樹上の隙間などに運び、冬に備え蓄えます。ツキノワグマなど、動物によっては冬が来る前に喰い貯めて脂肪として体内に蓄積させ冬眠する動物もいますが、エネルギー代謝の高いリスや鳥類は冬眠できず、また、体に脂肪をつけた状態では動きも鈍く外敵から狙われやすくなります。カケスは木の実を生活圏内に分散貯蔵することで冬を快適かつ安全に過ごすことができるのです。カケスはのど袋にドングリをたっぷり詰め込み、最後にもう一つ嘴に咥えて樹林から樹林へと運んでいたのです。食べきれずに残されたドングリはやがて春に発芽し、ドングリの森は広がります。リスやカケスは森創りにも貢献しているのです。
市川 和男 (財)日本生態系協会会員
10月29日 守る会主催の第二回エコツアーが開催されました。
作業は、雑木林の斜面の下刈りと休耕田に作ったため池を、
イノシシから守る畦作りに分かれ、昼食は会で用意したムカゴご飯と豚汁。
午後は笹も刈りました。
おやつには飯能名物「みそつけだんご」を食べて、今日の作業はここまで。参加した皆さんご苦労様でした。
D編集後記 林 伸子 (守る会 会員)
郵便振替入金をしようと、うろ覚えではあったが散歩がてら近くの郵便局へ出かけた。15分ほどで着くはずが20分以上歩いても見つからない。通りの店で聞くと、郵便業務を請け負っていた農協ともども合併で移転したということで、一番近い郵便局まで車で15分くらいかかると教えられた
車椅子を使っておられるそのお店の方は、以前は自分でできた郵便局の用が、移転後は店番を頼むか、誰かに行ってもらうかして、人の手を頼まなければならなくなったと嘆かれた。郵政民営化とはこういうことだったのか、とあらためて実感する
医療も自己負担が増え、ますます増える老齢人口とは逆に、公立の病院は減らされようとしているが、一方では医療特区ができている。医療の2極化が進む
誰もが年をとり、病気にもなる。心細い時にこそ、手厚い国であって欲しいと願う。大切に守るべきは国なのか、そこに生きる人なのか。選挙ではっきりと示す年としたい。