東谷津レポート その160

2014.2.25(火) 山梨 am10:3014:30 晴

 

ヤマアカガエル産卵開始

谷津は先々週の大雪の残雪がまだ深く残っているが、陽当りのよいところでは地表が現れて来ている。それを待っていたかのようにヤマアカガエルが産卵を始めた。そろそろかなと思っていたところに大雪、谷津は完全に雪で厚く覆われ、彼等も閉じ込められ待ちくたびれていたのかもしれない。さあて、しばらくの間谷津は彼等の恋歌で騒がしくなるぞ。


残雪のほとけどじょうの里:1週間以上経過したのにまだこの通り。


ヤマアカガエルの卵塊:まわりの陸地の残雪がとけ地表が現れると途端に産みつけられた5個の卵塊、これは序章まだまだ増えるぞ。


トラツグミ:残雪が溶け始めた湿地で餌を探していた。足踏みをして地中からミミズ等を追い出して食べるのだそうだ。よく見ないと見つけることは出来ない見事な保護色は頭上からの猛禽類から身を守る。


何かを捕らえて食べたのか口が開いている。


シャクガの仲間の幼虫:コナラの枝先が1部分だけ太くなっていて何か不自然。廻り込んでみよっと・・・。


小枝に擬態したシャクガの仲間の幼虫(シャクトリムシ)、小枝のこぶこぶまでそっくり。


こちらはヤマザクラの幼木で冬芽そっくりの色調で芽のそばにいた兄弟(姉妹かも)、冬芽に巻き付いていたならまず見付からないだろう。(写真右側が頭部)

 

東谷津レポート その159

2014.2.5(水) 山梨 am10:3014:30 晴

 

ダイアモンドダストのような・・・。

昨日は雨と雪で谷津に行きそびれてしまった。今日は一変、空は青く澄みきっている。いつもの谷津へ行く途中、残雪の雑木林に踏み込んでみた。この時期に現れるフユシャクガやキノカワガが見られるかもしれない、コナラやクヌギの幹を探してみようと思いついたのだ。落葉雑木の幹を見て歩くと時折樹間を乾いた風が吹き抜け、枝先に固まっている残雪を吹き落とす。雪の固まりは枝に当たってバラバラに砕けた粉雪が陽にあたりキラキラと舞落ちる、まるでダイヤモンドダストのように。おおっと、いつもの谷津に行かなくては、ウラギンシジミが越冬しているそうな。


残雪の雑木林、枝先の残雪が砕け落ちるとダイヤモンドダストのように舞い落ちる。


ウスタビガの繭殻に卵がついている。秋口に羽化し繭から脱出した雌は待ち受けていた雄と交尾し、まずは自分の繭殻に産卵する。繭殻は頑丈な繭柄によりしっかりと枝に取りつけてあるために卵が孵化するまで落ちることはない。


エサキモンキツノカメムシ:昨日の雨と雪で1日中隠れ処でうんざりしたのか、陽光に誘われてか、ハートマークの陣羽織を羽織ってお出かけだ。


フユシャクガの雌:フユシャクガの仲間の雌は翅を持たない、退化してしまったようだ。雄は翅を持ち飛ぶことが出来るので、雌はフェロモンを放出して雄を誘う。林の中では見つけにくいが、この通り人工物にいると簡単に見つかる。これはウスバフツシャクのようだ。(体長10ミリほど)


これは前から撮らせてもらったもの。立派な脚を持っていて雄を誘い易い場所までかなり移動するのだろう、橋の欄干の中央部にいた。よい場所を見つけると雄が来るまで移動しないのだろか、何日か同じ場所で見ることが出来る。


ジャコウアゲハの蛹:人工物が好きなのはこちら、この個体は自転車のブレーキワイヤーで冬越し、どこか遠くまで行きたいのかな。幼虫の食草ウマノスズクサの近くの人工物でよく見かける。


ウラギンシジミ(雄):越冬中の雄だ。大きくめいっぱい翅を開いているが、越冬中にもこういう行動をとるのだろうか、それとも余の寒さに命を落としたのだろうか。


ルリビタキ:『グッグ、グッグ』っと声がする。「おっ、ジョウビタキかルリビタキが近くにいるぞ」、瑠璃色の閃光が走る。ルリビタキの雄だ。谷津の奥は雪に覆われ餌がとれず、止むなく出て来たようだ。


キジバト:寒いのだろう羽毛を逆立て、足先まで覆い隠して寒さをこらえている。猛禽のタカ類に注意しているのだろう、目には緊張感がある。

 

東谷津レポート その158

2014.1.17(金) 山梨 am10:3014:30 晴

 

雑木林の落葉樹は高木も低木もすべて葉を落とした。こうなって初めて見えてくるものがある。それらを探すのがこの時期の楽しみなのだ。林の中の陽だまりの落ち葉の上に腰を下ろしぼーっとするのもよいだろう。小鳥の群がすぐ近くを騒がしく通り過ぎて行く、また静寂がやってくる。さあて帰ろうか、名残惜しいが陽が傾き陽だまりが山陰に入ると寒さが一気に襲ってくるぞ。


ガマズミの果実:葉は全て落ち実は霜げている。この時期まだ実をつけているということは鳥達には美味くはないらしい。


ヒメカギバアオシャクの幼虫:虫友からここで見たと聞いた。コナラの幼木をしらみつぶしに探してみてようやく見つけたぞ。体長12ミリほどで小枝のようだ。


タマバチの仲間:ヒメカギバアオシャクを探していると、まだ小さな冬芽の上で何かが陽を受けて反射している。「タマバチだ!!」ついに出会えたぞ。じっとして動かないで何をしているのかな、まさか・・・。(体長3ミリほど)


気付かれないように、そっと後にまわってみる。お尻を冬芽にくっつけている。「う〜ん、怪しい」


さらに横にまわると、やはり産卵行動のようだ。脚を踏ん張って冬芽に産卵管を差し込んでいるのだろう。翅が見当たらない、無翅型なのだ


オオミノガの蓑:まわりの葉が落ちるとこの通りよく目立つ。この蓑の中で越冬し、春蛹になる。雄は羽化すると蓑から脱出するが、雌は脚も翅も持たず蓑の中で一生過ごす。雄との交尾も雄は外から雌は中のまま、産卵も蓑の中なのだそうだ。


ウスタビガの繭殻:コナラやクヌギ等の枝先を見てみよう。落ち残った葉のようなものがみつかったら双眼鏡の出番だ、そこには美しい黄緑色の繭、運が良ければ繭の外側に卵がついているかもしれないぞ。


いやー、雑木林には(特に林縁)こんなものもあるぞ。ひからびたミミズが木にひっかっている、これはモズのの仕業で「モズのハヤニエ」といい、バッタやカエルなど捕らえ獲物を引っ掛けておく習性がある。


これがそのモズ、雌も雄も縄張りを持ち巡回して廻る。

 

東谷津レポート その157

2013.12.11(水) 山梨 am8:3014:30  晴

 

久し振りの谷津、自分の周りの小さな時間帯はゆっくりと過ぎて行くためか、気がつくと秋深く、自然は待ってはいてくれない。谷津は紅葉の盛りを過ぎ、はや冬枯れの色に埋もれていた。今日はモニ1000植物調査に同行、後一人また谷津に向かった。そこには、秋に置いてけぼりを喰らった虫や、秋風にとともに姿を現した生きもの達が交差していた。


植物調査で冬枯れの山道を行く。


ジャノヒゲの果実:落ち葉に埋もれ異彩を放つ。冬枯れ色の雑木林ではっとする美しさだ。


ジョロウグモ(雌):初夏から秋にかけて、谷津ではナガコガネグモとともよく目立つ存在だったが、今では周りには全く見られない。この個体も巣網はズタズタに破れ、右前脚を2本失って網を補修する気力もないようだ。


アキアカネ(雄):初秋の谷津の風物詩である赤トンボ、この時期まで生抜いた個体は早朝霜げているらしい。昼近くになると陽当りのよい石や丸太の上で暖まり、低く飛んではペタリと止まって暖まるを繰り返す。(止まっているのは竿の先ではないのだ)


アキアカネ(雌):こちらは最後に見た雌であろう。さすがに雌はもう見られない、これは最終確認した1114日撮影のもの。丸太の割れ目に産卵?まさか、こんな場所に産卵する種ではない。(では何を?ただお尻がかゆかっただけかもね)


シモフリスズメの幼虫:キンモクセイの木の下に大きな糞が転がっていた。目を凝らして頭上を探すと巨大なイモムシ(体長9センチほど)。寒さにもめげず葉をかじっている。木を下りて土中で蛹になる前の最後の食事なのだろう。冬はそこまで来ているのにのんびりしたものだ。


アオシャクの仲間の幼虫:葉の落ちたコナラの幼木、その枝先に現れたまだ小さなちいさな(体長15ミリほど)尺取虫。小枝にそっくりなので、じっくり探さないと見付からない。上が頭の状態で小枝にぴったりとくっついている。さらに寄って見よう・・・。


頭部はまるで枝先そのもの、だが、自分の頭部の形を知っているのか先端には行かない。先端の冬芽とは形が違うからだ。


こちらは小枝の途中で直立して静止、頭の色や体の折れ曲がり具合、節まであって小枝そっくり。人の目線ぐらいの高さで十分なのでじっくりと探せばきっと見つかるはずだ。


ダイサギ:谷津への通り道の河原。夏場から秋にかけて川遊びでにぎわうためにどこかに移動していたが、河原が静けさを取り戻すと戻ってくる。飾り羽はなく、嘴の色も黄色に変わり冬用の装いに変わっている。むき出しの長い脚が寒いのか、片足を羽の中に折りたたんでいる。


アオサギ:こちらもようやく静かになった河原に戻って来た。流れの中で小魚を見事に捕らえた。

 

東谷津レポート その156

2013.11.5(火) 山梨 am10:3015:00  晴

 

今年は雑木林の木々はどれも果実をたわわにつけた。東谷津ほとけどじょうの里のシンボルツリーのエゴノキも負けじと、今まで見た事もないくらい実をつけた。秋になり葉を落とすと木を覆うばかりの果実が現れたが、その果実も今はほとんど無い、ヤマガラがせっせと通い食べたり、貯食のためにせっせとどこかに運んでしまった。この果皮には毒があり、この実を食べることができるのはヤマガラくらいのもの、そう慌てなくてもよさそうなものなのに。雑木林は葉に色を付け始め、モズは縄張を主張して甲高い声で鳴きだし、冬鳥のジョウビタキの声もする。なのに、奥の方から『ツクツクボーシ、ツクシヨーシ』と声がする。変な気候だな。

残り少なくなった谷津の花に来ていた昆虫達をを撮ってみた。


ヤマガラ:『ニイニイイニイ』と独特の地鳴きをしながら、せっせとエゴノキの果実の種子を運ぶ。冬のために木の割れ目などに隠すのだ。時折その種子をこつこつとつつく、その場で食べるのだ。両脚で小さな種子を器用につかんで、きょろきょろと安全を確かめる。


ヤマガラ:安全とみたのだろう。落とさないよう脚で押さえ堅い殻を割ろうとつつきだした。


ルリタテハ:前回紹介したバットマン(蛹)、そろそろかなと行ってみた。案の定、今日羽化したようだが大分遅かったようだ、羽化を終え抜け殻から少し移動していた。この写真を撮ったところで飛び立て行った。うーん、早く来ればよかったな。(1031日撮影)


ウラナミシジミ:温暖な房総半島南部から世代を交代しながらとうとうここまで来たたが、冬を越える事は出来ず死滅してしまう。翅裏は名の通り暗褐色で白い波状模様があるが逆光で見えないのが残念。(タイアザミの花)


モンキチョウ:よく見るチョウだが、ここ谷津まで来るのは珍しい。(タイアザミの花)


キタキチョウ:谷津で春から晩秋にかけて最もよく見るチョウ。翅裏に黒点が見られないこの個体はまだ夏型のようだ。(タイアザミの花)


キタテハ:晩秋特にこのアザミの花では、長い花期が終るまで身近で見る事が出来る。成虫で越冬するこのチョウ花が咲いているときにたっぷりと栄養補給が必要なのだろう。(タイアザミの花)


アカタテハ:コウヤボウキの花の蜜を吸っていた。翅裏を撮りたくてチャンスを待っていたのだが、小さな花、あっという間に蜜を吸い終えて飛去った。成虫越冬の栄養補給に忙しいらしい。


アシグロツユムシ:片手にツバつけて気合いを入れているのかな、それとも化粧直しかな。(タイアザミの花柄)


スジブトハシリグモ:通常は水辺でよく見るが、何故かこんな所まで来ていた。水辺もいよいよ獲物が少なくなったのかな。(タイアザミのつぼみ)

 

東谷津レポート その155

2013.10.23(水) 山梨 pm11:0015:00  曇り

 

曇り空の下。谷津は重苦しい空気がただよっていた。さすがにこんな天候の下では飛翔する昆虫達は葉裏などにかくれてしまっているようで、あたりには何も見えない。そんな谷津の林床でひっそりと咲く小さな花を見つけた。そして、気温の寒暖の激しかった10月に見た虫達を振り返ってみた。 

キッコウハグマ:林床に咲く小さな花(直径7ミリほど)で、よく見るとさらに小さな花が3個で束になっている。この花は閉鎖花が圧倒的に多く(左のような)、このように開花しているのはなかなか見る事が出来ない。


ヤマトシジミの屍:クモの巣網に掛かってしまったようだ。巣の主に喰い散らかされたのだろう、左下にはもぎ取られた後翅が落ちている。昨夜の雨にもうたれてしまったようだが、それでかえってはっとさせられる。


アサギマダラ:毎年この時期になると東谷津とホタルの里に舞い降りてくる。南方から旅してきて、ようやくたどり着いたもかな。(10/14撮影)


アサギマダラ:長距離を移動するための栄養補給なのだろう、長い間吸蜜していた。(10/14撮影)


キタテハ:翅裏と表を1枚の写真におさめようとしたが、せいぜいここまで。翅の表はヒョウモンチョウのような豹紋柄だが、形は大きく違いシャープな切れ込みがある。(10/14撮影)


谷津にバットマン参上!! 枝にぶら下がって止まる姿は、まるであの正義の味方バットマン。だがこれは蝶の蛹、この姿でここに13日もいるのだ、来週中頃には大変身してルリタテハの成虫が空を飛ぶだろう。(10/11撮影)


コカマキリ:10月も中旬になろうとしているのに、まだセミが鳴いている。草原でバタバタと羽音がする。どうやらカマキリがそのセミを捕らえたようだ。カマキリはえらく小さく(体長40ミリほど)カマの内側に白と黒の斑紋、コカマキリの狩りを初めて見た。(10/11撮影)

 

東谷津レポート その154

2013.10.6(日) 山梨 10:0015:00  晴

 

東谷津ほとけどじょうの里で先日倒れた山桜の巨木を片付けるため、今日は臨時召集。今月20日に予定されている大イベント『里山バザール』があるのでそれまでに片付けておかなければならないのだ。あまりの巨木に手こずるだろうと、数日の作業を覚悟して「今日は無理しないで出来る所までにしよう」と言い合わせて作業に入る。2台のチェーンソーがツーサイクルエンジン独特の甲高いエンジン音を谷津に響かせ、輪切り丸太が次々に出来て行き、昼休みを挟んであらかた片付いてしまった。雑木に囲まれた大木は思ったより枝の張り出しが少なかったのとチェーンソーという機械力なのだろう。1日であらかた完了してしまった。

切り離した倒木は思わぬ方向に強力に動くことがある。『切り返し』だ、それを避けるため、見極めながら枝の先の方から徐々に根本に向けて切り離して行く。


昼食:谷津の作業の日の一番楽しみのとき。今日は石窯で焼いたピザと天然酵母のパンだ。女性陣が、倒木の片付け作業を手伝いながら焼いたものだ。食べながらいろいろな話題がころころと弾んで行く。


目立て:縁側に座り込んだお爺さんが、鼻眼鏡で小さな金槌とヤスリを使い、愛用のノコギリの目立てをしているのを見ていた子供の頃をことを想いだす。これがその現代版、昼休みのひとときチェーンソーの手入れだ。


ゴンズイの果実:赤く熟すと肉質の果皮を開く、中から黒くつやのある種子が現れる。


ヤブミョウガの果実:日陰を好む多年草。これはその果実、薄暗い杉檜の林の下でシックな色合で異彩を放つ。


雌雄が仲良く吸蜜。オオウラギンスジヒョウモンであろうか、しばらくすると2匹はもつれ合うように上空に飛び上がることを繰り返していた。


オオアオイトトンボの捕食:ため池の水面から突き出た小枝に止まって、捕まえたばかりの蛾の仲間を食べている。全長40ミリ程と小さいが、そこはトンボ、食事は荒っぽくむしゃむしゃとあっという間にたいらげてしまった。


オオアオイトトンボ連結態:その近くでは雄が雌を捕まえて連結しているカップル(上が雄)がいた。まだ交尾には至ってないらしく、このままの状態で移動していた。このトンボ寒さに強く、12月中旬までは見られるので、水面から突き出た木の枝などをじっくり探せば、いろいな生き様がまだまだ見られるぞ。


マユタテアカネ:この赤トンボの仲間も池など流れのない水辺を好むようで、オオアオイトトンボと止まり木を争っているところが見られる。顔面の黒い2つの黒点を眉と見立ててこの名がついたようでだ。

 

東谷津レポート その153

2013.9.22(日) 山梨 8:3016:00  晴

 

東谷津ほとけどじょうの里の石窯裏の山桜の大木が倒れていた。倒れたのは20日の夜間と思われる。同一日にほたるの里でもコナラの大木が倒れていた。強風が吹いたでもない穏やかな日に何故だろう。想像するに、数日前の台風18号の大雨による地盤のゆるみと強風に揺らされたこと、倒れる前日の早朝の地震(東北地方で震度5強、飯能でもゆれを感じた)に揺らされ次第にバランスが崩れてしまったのだろう。

『メスグロヒョウモンの産卵』(タテハチョウ科、開張70ミリほど、雄は茶色地に豹紋柄)

「メスグロヒョウモンが産卵しているよ〜」の情報、メスグロヒョウモンはしばらく見ていないし、それも産卵ということで峠をひとつこえて駆けつける。「キリの木の上の方に行ったけど、また来るよ」を信じて待っていると、「きた!! 」ヒラリヒラリとエゴノキを大きく旋回して産卵場所を探しているようだ。いざ産卵がはじまると、木の幹や人工物、土の上にまで産卵しているようだ、近くには幼虫の食草となるスミレ科の植物は見当たらないが、かまわずお尻をつけて産卵をしている。このチョウ産卵場所を選ばないらしく、産気づいたとろに産みつけているらしい。孵化した幼虫はどうするのだろうか?(「ヒョウモンチョウ類は、枯れ木等に産卵するが、近くにスミレがあることを確認して産卵しているらしい」とのこと、なるほど) 久し振りのメスグロヒョウモン、意外な面も見せてくれた。


山桜倒木:直径60センチはあろうか、根こそぎ倒れた山桜の巨木。幸いにも石窯や小屋等には被害はなかったようだ。


メスグロヒョウモン(雌):久し振りに出会えた雌、どうやら産卵に来たらしい。雄は茶色地に黒点の豹紋柄をしているが、近くには見られなかった。


メスグロヒョウモンの産卵:産卵は幼虫の食草に限らないようで、このように人工物の狭い空間にも産卵した。


辺り構わず尻をつけて卵を産み落とす。この場を離れると木の幹に移り産卵を繰り返した。


これが産卵された卵、塊で産みつけるのではなく、ひとつひとつバラバラに産みつけている。これは人工物の上に落ちていた木の葉、こんな不安定な所にも。


ゴイシシジミ:笹の葉裏で5匹で一斉にササコナフキツノアブラムシが分泌する甘露を吸っている。雌はこのアブラムシのコロニーの中に産卵し、孵化した幼虫は迷うことなくそのアブラムシを食べて成長する。前出のメスグロヒョウモンとは大きな違いだ。


イラガの幼虫:刺だらけの突起が特徴の美しいイモムシ。だが、この美しさにだまされてはいけない、この刺には毒があり、刺されるとかなり痛いらしい。腹脚が退化しナメクジのようにゆっくりとすり歩く。見つけても『かわいい〜!! 』なんて触らないことだ。


オナガサナエ(雄):物の先端に止まり縄張りを張り、巡回しては戻るので写真は撮りやすい。雄は尾部の付属器が長大なのが特徴だ。


オオアオイトトンボ(雄):夏は薄暗い林内で過ごし、秋になると水辺に移動してくる。寒さに強く晩秋まで見られる。このトンボは棒等の頂点には止まれないらしく、いつ見てもこのような止まり方でいて正面から撮ることが難しい。


タカネトンボ(雄):体のほぼ全体が艶のある黒で、まるで漆を塗ったようだ。林間の池の縁廻りをパトロール飛行する。捕虫網を振った観察者に撮らせていただいた。(9/14撮影)

 

東谷津レポート その152

2013.9.11(水) 山梨 14:0016:00  晴

 

 今日は2度目の谷津、午前中しょぼ降る雨の中でのモニ1000植物調査に同行、終了と同時に晴れてきたので、先日見かけていたチョウが気になって黄金色に色付いた谷津田に舞い戻った。が、そのチョウはおらず・・・。

『ナガコガネグモ』(コガネグモ科、体長雌25ミリ雄10ミリほど脚は含まない)

 田んぼの稲の色付きに合わせているかのように成長するこのクモ、この時期になると谷津の田んぼの畦や草原でやけに目立ってくる。あちらこちらに巣網が垂直に張られていて、その真ん中にでーんと構えて獲物がかかるのを待つ、その姿は、これから秋深くなるまでの谷津の風景をつくると言ってもいいだろう。そんな巣網に大きな獲物がかかった。


ナガコガネグモ(雌)の狩り:池の廻りの草間の空間に垂直に張られた網にオオシオカラトンボがひっかかった。中央にいた網元は素早く近付き、お尻から何本んもの糸をだしがんじがらめの捕獲にかかる。


オオシオカラトンボはそうはさせじと翅をバタつかせて振り切ろうと暴れまくる。その勢いに網元はたじろいたのか一歩下がる。


少し時間をおいて、再度襲いかかる。


大きく力強い獲物はまだ抵抗するが、翅はねばつくクモの横糸しっかりと貼り付いてしまったようだ。


網元は、もはや獲物は逃げられないと知ったのか、先に捕らえて糸でぐるぐる巻きにして保存していた餌を食べ始めた。獲物が弱ってから保存加工に取りかかるのだろう。


ヒョウモンチョウの翅表:この時期、谷津に飛来するヒョウモンチョウの仲間の翅表は区別がつきにくい(特に私のような素人にはだが)、そこで撮り逃がしてしまうことがある。(これはウラギンヒョウモン)


ウラギンヒョウモン:アザミの花にヒョウモンチョウの仲間が来ていた。『ヒョウモンか』何気なく見ているとそのうち翅裏を見せた。『ん、いつもと違うぞ』写真に撮ってみると、何とウラギンヒョウモンであった。(99日撮影)


 

ミドリヒョウモン:毎年、谷津にアザミ(タイアザミ)の花が咲くと、真っ先に来るヒョウモンチョウの仲間。同じヒョウモンチョウの仲間でも翅裏はこのように違う。


ヤマトシジミ:葉の上に小さなチョウが2匹、よく見ると交尾中であった。どこにでもいるチョウだがあまりに小さくて見落としてしまいそう。


ミンミンゼミ:真夏にはミーンミーンとけだるく鳴いて暑さを助長していたが、初秋になると、夏も終わりかとの想いに何故か物悲しくも聞こえてくるのは私だけだろうか。神社の柱にしがみついていた。

 

東谷津レポート その151

2013.8.26(月) 山梨 am7:3015:30  晴

 

8月に入ってからの猛暑(私には酷暑)で谷津行きを躊躇してしまった。今日は湿度が大幅に下がるとのことで、久し振りの谷津行きとなった。途中の河原ではまだ水遊びの人たちも全くいない、静かな水面にはハグロトンボがいつものように縄張りを主張して飛び交う。その姿をいつものように見ながら通り過ぎ・・・・「ん、いつもとは違うぞ」2匹の縄張り争いではない、数匹が限られた場所で飛び交っている。思わず「集団産卵だ!!」。大幅な河川改修が終わり個体数が回復してきたのだ。うれしくなってしばし見入った。さて、谷津へも行こうか。

ハグロトンボ集団産卵:水面の一角に水草や小枝、落ち葉などが集まって浮いている場所に群れ飛ぶハグロトンボ、産卵が始まったようだ。


ハグロトンボ集団産卵:雌は適当な場所を選び産卵を開始する。その間中雄が自分の遺伝子を産卵する雌をかばおうと、近くに来たおすを追い払おうと乱れ飛ぶ。これが集団一斉産卵だ


ハグロトンボ集団産卵:産卵行動はさらにエスカレート、潜水産卵するものまででてきた。(写真右側のがそのようだが・・・)


久し振りに谷津田に着くと、稲は稲穂を膨らまし頭をたらすまでに成長していた。(白い線はイノシシやシカの被害を避けるための電気柵の電線、こうしないと秋の収穫は全く無くなってしまう)


ツリガネニンジン:秋近しか、8月初旬に見た頃は小さなつぼみだったものが満開だ。


クモの孵化:カヤの葉の間に産卵された卵のう(右上の球体)から孵化が始まった。卵のうから出た子グモ達はひとつの塊になっているが、ゆらすなどちょっと刺激すると、このようにぱあっとちりじりになり、やがてまた塊をつくる。


ヨツメアオシャクの幼虫:『変なのがいるんだけれど見る?』の声に誘われて行ってみると、まるで枯れ葉がひっかっかっているようにしか見えなかった。体に枯れ葉をつけて着飾ったイモムシが体をまるめて枯れ葉に擬態。かすかに見える体色から本種と思われる。


アシナガバチの餌集め:キボシアシナガバチであろうか、山道に落ちていたアブラゼミをかじっている。巣にいる子供達に餌を運んでいるのだ。このハチは子供の餌として、大顎でかじりとった肉を団子にして運ぶ。何度も行ったり来たりしていた。


ギンヤンマの産卵:『連結態もいるよ!!』しばらくするとスイレンの葉に静止、産卵場所が決まったのだ。カップルは連結したまま産卵を始めるようだ。上空にはシオカラトンボがちょっかいをしに飛んできたがお構いなし、続けるようだ。


雌は産卵を始めたらしく、浮き葉がゆれて波だっている。スイレンの葉にかくれて雌の姿全体が見えないのが残念だが、さらに後ずさりして深いところに産卵場所を移動したのだろう、とうとう雌は見えなくなった。