東谷津レポート その150

2013.7.23 山梨 am8:30〜13:30  晴のち雨

 

東谷津レポート-150

2013.7.31(水) am8:3016:30  曇りのち晴

 とうとう150

 てんたの会がトラストした『東谷津ほとけどじょうの里』、ここを拠点として、天嵐山・多峯主山周辺の生きた情報(現状)を発信して行こうと始めたこのレポートも150回まで来てしまった。最近はめっきり動植物(特に昆虫類)の情報に偏ってきているが、それもこの地が落ち着き始めたことなのだろう。これからも四季の草花や動植物の情報が続けられるよう、静かな『天多の森』であり続けるよう願って回を重ねることにしよう。では今日も東谷津からホタルの里に廻ってみよう。

(訂正:前回レポート-1495枚目の写真はミズアブではなく、アリの巣内に産卵するアリスアブでしたので訂正します)


ジャノメチョウ:樹液に来ていた。色合いの地味なチョウだが、眼状紋の中が瑠璃色に輝く。


ゴイシシジミ:幼虫が食べるササコフキツノアブラムシやタケノアブラムシなどの分泌物を吸う純食肉性。笹についているつぶつぶがアブラムシ。翅の黒点が碁盤に並べた碁石のようだとのことでこの名がついたとのこと。


ゴイシシジミの幼虫:笹につくササコフキツノアブラムシやタケノアブラムシ等を食べる日本唯一の食肉生イモムシ。写真中央の毛羽立ったのがそれで、アブラムシの白状粉を体全体に付着させている。近くにいるアリはこのアブラムシの分泌物をなめにきているらしく、両者とも我関せずだ。


ムラサキシジミの幼虫:アラカシの幼木の若葉を丸めてその中に潜む扁平なイモムシ。体に蜜腺があり、そこから蜜をだし、護身用としてアリをを集める。アリは蜜をもらうかわりに捕食者から守ってやっているのだそうだ。


ヤマトカギバの幼虫:葉の一部が茶色く変色しているところに擬態しているのかな。体がざらざらで目立たないということか。静止状態ではいつこもこのように体を折り曲げてべたっとしている。奥にあるのは脱皮殻で、尾っぽまでちゃんとある。


ニイジマトラカミキリ;雑木林の木の幹でちょこちょこせわしなく動きまわる。やっと止まってポーズをとってくれた。『美しいよ!!』声をかけてしまう。


ブチミャクヨコバイの幼虫:カミキリ虫を撮っている最中、手に何か止まった。そっと目を移すと本種であった。ずっと合ってみたいと思っていたものが今自分の手にいる。小エビのような体系、指先に余韻を残しジャンプして消えた。(小さいくせに脚力は強かった)


マエグロハネナガウンカ:文字通り長く美しい翅を持つ。いつも葉陰や葉裏でじっとしている。顔がマンガチックで愛らしい。


オダカグモ(雌):腹部が三角形で独特な体型。丸いのは卵塊、長い前脚でまたいで外敵から守っている。北上を続けている南方系のクモだそうだ。


これは何の蛹かな?太い糸を張り巡らせているのは何のためか、体からは大きくはなれ、隠れるために巻いた葉を固定するためでもないらしいが・・・。


シオカラトンボ(雄):雄が繁殖相手の雌のシオカラトンボを食べている。「まさか、そんなことが・・・」大きくクローウアップしてみると、未成熟の雄であった。恋敵を今のうちにということか、恐ろしい光景だ。本種が共食いするとは知らなかった。


キイトトンボ(雄):水面近くをよたよたと不器用に飛んでいる黄色い飛行物体。キイトトンボだ。こんな飛行技術で、貪欲に同種を含むイトトンボやハエ等を補職するらしい。

 

東谷津レポート その149

2013.7.23 山梨 am8:30〜13:30  晴のち雨

 

谷津でも朝8時を過ぎると、ジリジリと陽光が背中を焼き始め、昼近くになると草いきれでむっとして来る。こんな条件が大好きな虫達をを目当に谷津に到着だ。そんな虫の中で、アキノタムラソウ花の蜜が大好きな虫『ルリモンハナバチ』が今日の狙いだ。その名の通り瑠璃色を体に配して優美に蜜を吸いにやってくる。今年もそろそろ現れる頃、ところが今日は何時まで待っても現れない。暑さに負けて雑木林の中で休んでいると、遥か遠くでゴロゴロと雷の音がして薄く雲がかかってきた。『来るぞ』名残惜しいが、そそくさと谷津を後にした。(途中ぽつりぽつりと来た雨は、1分も経たずにどしゃ降り、山門に駆け込んで難を逃れた。”遠くても雷の音には気をつけよう”)

ノカンゾウ:やや湿った場所を好む多年草。この地では数は少ないが、直径が7センチほどの花は草地で存在感がある。


ハグロトンボ:河原にハグロトンボが帰ってきた。河川改修をすると激減することが多いといわれているこのトンボ、河川改修工事が終わった昨年はとうとう見なかったのだが、川も落ち着いたらしい。


モノサシトンボ:毎年たくさんの本種が見られるこのスポット、今日はこのカップルだけしか見られず。ちょっと時期が早いのかも。上が雄で下が雌。(全長が4センチほどの小さなトンボ)


ベッコウハゴロモの幼虫:お尻に綿毛をつけてなにやらお話でもしているのかな、脚を伸ばして仲睦まじいところを見せつけている、この雰囲気に近付きすぎると、ピョーンとジャンプしてしまう。

ミズアブ:別名をオンセンアブというそうだ。幼虫が水の中で暮らし、比較的高温の温泉地でも生きられるからなのだそうだ。


オオイシアブ:太っちょで体中毛だらけ、顔面まで毛だらけだ。暑さにはめっぽう強く、日当りのよい山道の石の上や倒木の上で涼しい顔をしている。


オオイシアブ:これがその顔、立派なヒゲまではやしている。(これでは涼しい顔かどうか分からないね)甲虫等の昆虫を捕食する。


シオヤアブ:このアブも毛むくじゃらで暑さにもめっぽう強い。プウーンと甲高い大きな羽音で飛び回り、昆虫を捕食する。おしりの白い束毛は雄の証拠、雌にはない。


スズバチ:砂利道の中央で堂々と巣材を集めているのは、腹部のオレンジ色の斑紋から本種であろう。このハチは泥で巣を作り、幼虫の食料としてガの幼虫を捕らえる狩蜂だ。(獲物の運搬中かもしれない)


チャイロスズメバチ:体長2センチほどと大きくはないのだが、キイロスズメバチやモンスズメバチの巣を乗っ取って集団生活するのだそうだ。この個体は働きバチなのか、クヌギの根本で狩りをしているようだ。数が少なく見る機会が少ないとのこと、頭部が写せず残念。

東谷津レポート その148

2013.7.6(土) 山梨 am10:0014:30  晴のち曇り

 

梅雨が明けたそうだ。気温は35度を超え、いきなり猛暑日となった谷津は草いきれでむっとしている。こんな暑さに強い虫達が元気いっぱい暑い夏を楽しんでいるようだ。とにかく暑い、街の方から『・・・熱中症に注意しましょう』とスピーカーからのけだるい声がかすかに聞こえた。こちらは既に熱虫症、おおっと、炎天下での虫見はひとまず止めて雑木林に入って一休みしようか。

ショウジョウトンボ(雄):いかにも谷津のむっとした暑さに似合う全身真紅のトンボ。この赤は成熟した雄だけのもの、未成熟の雄や雌は橙褐色だ。


コオニヤンマ:こちらは谷津の暴れん坊、バキバキと羽音をたてながらアブやイトトンボ等を捕食する。後脚が極端に長いので変な止まり方をしている。


ゴマダラカミキリ:中型カミキリ(体長30ミリほど)の代表格、威風堂々の参上だ。公園や街路樹、庭のバラの木などででもよく見ることが出来る。


ラミーカミキリ:ブリキのおもちゃのロボットみたい。これは南方からの外来種だが、飯能にも定着しているようだ。谷津のカラムシの葉上を探してみよう。(体長10ミリほど)


コウヤホソハナカミキリ:名の通りスレンダーな体系だ。これは雄、特徴のある前翅の横帯は3対が雄で、雌は4対あるとのことだ。(体長20ミリほど)


スズミグモ:何とも美しい体色のクモだ。ドーム状の巣網を張りその中央にでーんと構える。南方系のクモだが定着しているのかな。


スズミグモ:さらに美しい背中を見せてもらおうと下から見上げようとしたがこれ以上は無理、でも両肩にあるこのクモの特徴である突起が一部見えている。


ナミヒメグモバチ:クモを自分の幼虫の餌として、泥で作った巣に蓄える。巣はひとつ作り終えると繋げるように作ってゆき、長くつずく。そのひとつひとつにクモが入っていて、卵から孵化した幼虫はそのクモを食べて成長し、食べ終わると巣の中で蛹となる。


クモタケ:キシノウエトタテグモの巣穴から顔を出した冬虫夏草の仲間のクモタケ。大きなキノコの根本にある極小さなマッチ棒の先のようなのがそれ。廻りにはトタテグモが放棄した巣穴が見える。

 

東谷津レポート その147

2013.6.14(金) 山梨 am9:0014:30  雨のち晴

 

ようやく雨が来た。湿地は乾上がり、田んぼはひび割れ、生気がなく瀕死の状態だった谷津に雨が降り続き3日目となる。久々に生気を取り戻した谷津には待っていたかのように生きもの達が動きだし、新顔達も参加し始める。シュレーゲルアオガエルとモリアオガエルが産卵し、オオシオカラトンボが羽化を始め谷津の看板役者がそろいだした。雨の谷津は訪れる人もなく、生きもの達も緊張感を忘れたようにのんびりしている。傘をさして独り占めして歩く谷津もいいもんだ。

雨の谷津:雨にぬれて谷津の緑は色濃く染まる。山にはモヤがかかり、誰も訪れない静かな谷津を独り占めだ。


モリアオガエルの卵塊:梅雨の雨を待っていたのだろう、降り出して2日目に産卵された。ソフトボール程の大きさであろうか、泡状の固まりの中にはたくさんの卵が産みつけられている。卵はこのまま樹上で孵化しオタマジャクシとなり、やがて水が張られた田んぼに落ちて水中生活を始める。


シュレーゲルアオガエルの卵塊:梅雨に入るとシュレーゲルアオガエルも産卵を始めた。こちらもモリアオガエルと同じような泡状の固まりの中に黄色い卵がたくさん産んである。この中で孵化してオタマジャクシとなり、ある程度成長してから水中に泳ぎ出る。通常このカエルは畦等の斜面に穴を掘って産卵するので卵塊を見ることはできないが、時にはこのように水面に浮いていることがあるので、注意深く観察してみよう。そのうちオタマが泡の中で動きだすぞ。


シュレーゲルアオガエル:もう産卵を終えたのか、田んぼの杭の上でじっとしていた。そこにハエが飛んできたのだが、食べようともせず動かない。『おい、目にはとまるなよ』金色のまぶたをそっと開いて、そんなことを言ったのかもしれない。


人気の羽化スポット:ため池の廻りを歩いて行くと、羽化後間もないトンボが2匹杭に止まっていた。よく見ると、廻りにはたくさんのヤゴの抜け殻がる。よほど羽化しやすい杭なのだろう。


オオシオカラトンボ:ヤゴが意を決して杭に登り羽化を始めたが生憎の雨。翅は伸びたものの雨水でびっしょり、初飛行にはまだ時間がかかりそうだ。どうやら雄のようだ。


オオシオカラトンボ:雨宿り中の未成熟雄。雄は成熟するまではこのように雌と同じ体色をしている。


オオシオカラトンボ雄:成熟した雄。未成熟期とは全く別の体色になる。これから秋にかけて、シオヤトンボ、シオカラトンボと谷津で最もよく見られる種だ。が、これとよく似た別種、ハラビロトンボの雄もいるので観察には注意が必要だ。


ハラビロトンボ雄:オオシオカラトンボの雄とよく似ている。違いは腹の部分が幅広く、その中心に黒い一筋の線が引かれている。このトンボも雄は成熟するにつれ3回体色が変化する。(これは成熟したもの、レポートー144に中間色期の写真あり)

 

東谷津レポート その146

2013.5.28() 山梨 am11:0016:30  晴

 

『虫も時には木から落ちる』

谷津を歩くと山道やため池の水面に不自然にうごめく虫に出会うことがある。そう木登り自慢の毛虫や芋虫、立派な翅を持ち飛翔自慢の虫達がだ。捕食者に襲われたり、突風にあおられたりいろいろと理由はあるのだろうけど、木登りや飛翔に失敗したものも居るだろう。そしてその運命は・・・。観察してみた。(敵に気付くと自分から落ちたりする虫もいるけれど)


ウスタビガの幼虫:コナラの木から落ちてしまったのだろう。まだ少し動いていたが、アリが見つけて寄ってきた。まだ数匹しか居ないが・・・。(12:35:47


ウスタビガの幼虫:およそ2時間後、アリ達は情報を受けて獲物を覆うばかりに集まってきた。これから解体が始まるのだろうか、あちらこちらに探りを入れているようだ。(残念ながら時間切れで結末は見ていない)


オサムシの食事:スズメガの幼虫の死骸だろうか。ため池に落ちて沈んでいたものをウスタビガの幼虫の近くに置いて見た。たちまちオサムシがやってきて、多勢でうるさいアリを嫌ってか引きずって遠ざかり、山道の真ん中でむさぼり食い始めた。(15:51:53


オサムシの食事:おおよそ20分、ほとんど食べ終わった。お腹がぱんぱんにふくれている。(16:13:20


ネグロクサアブ:水面でもがいていたのを虫友が救い上げた。切り株に止まらせ蘇生を試みると、必死に翅を動かしたが、前脚の怪我が重かったのか、産卵管を伸ばして絶命した。けなげにも産卵を試みたのかもしれない、雌なのだね。


アカシジミ:水面に浮いていた。すくい上げてみると脚をばたつかせる。まだ息があるので蜜を吸えるかもしれないと、花の上にそっと載せてみた。風がゆらし、また落ちてしまった。翅は折れ曲がり飛ぶことが出来なかったのだ。


ウラゴマダラシジミ:このチョウは夕方から活動するが、まだその時間ではない。葉の上から大きな目でこちらの様子を見ているようだ。『私は落ちませんよ』なんてね。


ホウネンタワラチビアメバチの繭:葉の裏にぶら下がっている小さな(長さ5ミリほど)繭、繭柄が宿主の毛虫から延びている。このハチはフタオビコヤガの幼虫に寄生するといわれているが、こんな毛虫にも寄生するようだ。宿主を食べ終えて繭を作ったはずだから。


オトシブミ:何故か今年はまだ文を作っているオトシブミの仲間に出会ってない。このオトシブミも単独行動だ。

 

東谷津レポート その145

2013.5.18() 山梨 am10:3015:30  晴

 

谷津の田んぼの田植えが終わる頃、水辺が騒がしくなってくる。2月から3月に産卵されたアカガエルは変態して次々と上陸を開始する。かわってシュレーゲルアオガエルが産卵をむかえ、それらを狙って捕食者のヘビ達が水辺にやってくる。谷津を代表するへび3種は、畦を歩くと必ずや出会うことになる。トンボの種類も徐々に増えて楽しみが増す。雑木林でも、コナラやクヌギが樹液を出し始め、樹液酒場にも虫達が集まり始めた。谷津は楽しいぞ。

『ヘビは水面に浮くことが出来るのかな?』

 田んぼの畦を歩くと、こちらに気付いたヘビが水面に波紋を残し、体をくねらせながら素早く逃げて行く状景に出くわす。まるで水面に浮いているかのようだ。だが、獲物を探している時のヘビはちょっと違うぞ。そんなヘビをこちらが先に見つけた、そっと観察してみていると、頭を水面から突き出し舌をぺろぺろさせながら体は水底に沈んでいる。そうヘビは水面に浮くことが出来ないのだ。体を素早くくねらせる泳ぎを会得し、息を止めて水中を移動する潜水泳法をも会得したスイマーなのだ。そして危険を感じたときは、水面を素早く泳ぎ去る、まるで水面に浮いているかのようにだ。


シマヘビ:体を水底、顔を水面に出して息継ぎしている。この後、頭を水中に沈めて水草の中に移動して行った。4本の縦縞模様がはっきりとした印象的な個体だ。


ヤマカガシ:水中から大きく頭を出して獲物を探しているのだろう。こちらも体は水底、こうして水底を這って獲物に近付く。


アオダイショウ:水辺で日向ぼっこしていたのだろう。そっと近付く私に気付いたらしい、といそいそと草原に移動して行った。泳ぎは得意と言っても、わざわざ水には入らない。


シュレーゲルアオガエル:水路にかくれていた、水辺ではヘビの一番の獲物。ヘビからは見付からなっかったようだが、頭に小さな訪問者、まさか寄生蜂が産卵?「カエルヤドリバチ」聞いたことがない、偶然に止まったコバチのだろう。


ヤマアカガエルの幼生:水底でじっとして、今までのオタマジャクシから劇的に変化して行く自分を受入れようとしているのかな。


トウキョウサンショウウオの幼生:体側に小さな脚が生えてきた。胸部にはまだ大きなエラが残っている。上陸はまだまだ先のようだ。


クロコノマチョウ:出始めたコナラの樹液を見つけて早速ちゅうちゅうと吸っている。このチョウの幼虫も水辺のヨシでよく見られるようになる。


サトキマダラヒカゲ:足下からパタパタとぎこちなく飛び立ち近くの小屋の柱に静止した。そのはずだ、翅が変形しているところを見ると羽化間もない個体だろうか、しばらくこの場に留まっていた。やがて樹液に向かうのだろう。


アカボシゴマダラ:ため池でシマヘビを観察しているとき雑木林から虫友の声、手招きで呼んでいる。いつも冷静な虫友が興奮気味、そのはず、3頭の雄が1頭の雌に言い寄っているではないか、やっと権利を勝ち取った1頭の雄が「さて」とばかりトライしたが受入れられず。このアカボシゴマダラは最近関東で数を増やしている外来型で翅に赤い斑点のない春型。この後雄はあきらめて樹液に向かった。

東谷津レポート その144

2013.5.10() 山梨 am10:3015:30  晴

 

天覧山下の東谷津とホタルの里は緑一色となった。例年ならば中低木は花盛り、その花の蜜や花粉目当てにチョウやカミキリ等の花好きな昆虫達が飛び交っている頃なのだろうが、今年は、下草刈り等の里山としての整備が行き届き、花が極端に少なく虫達も少ないようだ。そんな林縁で虫達を探してみた。


シロシタホタルガの幼虫:沢沿いに残ったサワフタギに今年も現れたシロシタホタルガの幼虫。この派手さは若齢から終齢まで変わらない。若葉を1枚食べ終えたところ。


ジョウカイボン:サワフタギの花に来たが、奥にいるシロシタホタルガの幼虫方が気になるようだ。ジョウカイボンは花粉と肉食どちらもいける。


オカモトトゲエダシャクの幼虫:コナラのひこばえの枝先で休憩中。頭部を丸めて腹の中に入れ、背中の白色を目立たせて鳥の糞に擬態してお決まりのポーズ。


ニトベエダシャクの幼虫:足下のコナラの生えたばかりの幼木の葉がかじられていた。そっと葉を裏返すとぐにゅっとした物体、白い鳥の糞に擬態しているのかな。頭は薄いオレンジ色でおり曲がった下側の先にある。


アカガネサルハムシ:コナラのひこばえに目を戻すと、陽光にきらりと光る甲虫がいた。アカガネサルハムシだ。なんとコナラの葉を食べている、ぶどう系の害虫なのにコナラも食草だったのだ。葉1枚で仕切られた上にはスジブトハシリグモ、気がきではなさそうだ。


トゲヒゲトラカミキリ:草原の葉上でちょこちょことせわしなく動き回る小さな昆虫、動き回って止まらない。ようやく撮った1枚。


トゲヒゲトラカミキリ:クロースアップしてみると、なるほど触角にとげが見える。虎模様の体にとげのあるヒゲでトゲヒゲトラカミキリなのだ。


ハラビロトンボの雄:眉間が青く輝くトンボ、ハラビロトンボだ。もう現れて今年は早いかな、で、この個体はまだ未成熟(中間成熟)さらに成熟すると、幅広い腹部が青白いこなで覆われる。

東谷津レポート その143

2013.4.17() 山梨 am10:30〜14:30  薄曇り

 

 谷津をとりまく雑木林は来るたびに色を変え、別の場所に来たようだ。昆虫達も活発に動きだした。

ニワトコ:落葉低木。この木はじっくりと見たことがなかったが、意外と奇麗な花を咲かせる。花は直径が5ミリほどとちいさいがたくさんつけて林間でよく目立つ。樹皮には暑いコルク質があり、果実は夏に暗赤色に熟すのだそうだ。夏には果実も見てみようか。


メギ:落葉低木。枝の節に鋭いトゲ、枝先に垂れ下がって咲く小さな花(直径6ミリほど)、秋には赤い液果をつける。葉や木部を煎じて洗眼薬にしたことから、この「目木」の名がついたとのこと、また別名を「コトリトマラズ」とのこと、このトゲでは小鳥も止まれないということ、なるほどね。

 


カルガモのつがい:今年も東谷津のため池に来たカップル。1年中日本でくらすカモで、毎年春から夏にかけて、このため池ですらす。カルガモは植物中心に昆虫や貝を食べるとのこと、来るととたんにオタマジャクシの数が極端に減るのは、このカモが食べているのかな。


イチモンジチョウの幼虫:食草のウグイスカグラの若葉がかじられている。「いるぞ!!」注意深く探すと、いた、食事中だ。背面に突起をたくさんつけていて、1度見ると忘れられない。どんな顔をしているのか覗いてみたら・・・。


イチモンジチョウの幼虫:ちょうど1枚の葉をたいらげた個体が見つかった。顔面までトゲトゲだ。このイモムシはいつも葉上に居る。この姿では怖いものなしっていうことだね。


ナガメ:カメムシの仲間。カメムシは体色が美しくデザインされたものが多いが、これはその上位に位置するのではないだろうか。ちょこちょこと連続的に動いて、やっと撮った1枚。


 

クロボシツツハムシ:葉上で交尾中のカップル。ハムシの仲間は自分の糞を後脚で受け止め、自分の産卵する卵に塗り固めるという面白い習性を持っている種がいるが、この虫もその種、その瞬間もそのうちに見たいものだ。



シオヤトンボ:早くも飛び始めた。この個体は雌かな、それとも未成熟の雄かもしれない。谷津で普通に見られるトンボだが、こんなに早く見たのは初めてだ。(4/9撮影)


脱皮中の毛虫:葉の上で脱皮中(背の中央の毛の固まりが脱皮殻)はクワゴマダラヒトリの幼虫のようだ。この毛虫は若齢のときは1箇所にかたまってるとのことだが、ちょうど分散する年齢にきたもののようだ。近くにはまだ数匹が残っていた。

 

東谷津レポート その142

2013.3.23() 山梨 am10:00〜14:30 晴

 

3月後半、谷津ではアカガエル達の産卵も終え、はやオタマジャクシが大挙して泳ぎ出した。雑木林では、
木々が新芽をどんどん膨らまし、早咲きのキブシ、ウグイスカグラ、クロモジなどが葉より先に花を付け始め、林床ではスミレやシュンランなども花を咲かせ
始めている。『春だぞ!!』谷津全体がザワザワと動き出したようだ。

 

アオイスミレ:スミレのなかでも早春に花を咲かせ、開花期が著しく短い。花が終わると葉を大きく広げる。
 


ミヤマシキミ:常緑の低木。花は雌花と雄花(雌雄別株)があり、これは4本の直立した雄しべが見えることから雄花のようだ。
 


キブシ:早春に花をつける代表木のひとつ。葉を出す前に花を咲かせる。これも雌雄別株で、これは雌株のようだ。
 


コハナバチの仲間:桃の花園で仲むつまじいカップル、雌の方は食い気が先のようだが。
 


ウラギンシジミ:成虫で冬を越し、春の陽光に思わずねぐらを飛び出したものの、陽が陰ったために動けなくなってしまったらしい。ずっとこの場に留まって
いた。
 


ゴミグモ:木の枝葉間に縦にゴミのような塊が見えた。まわりにはクモの網、ゴミグモの巣網だ。さて家主は縦長のごみの中央にいるのだがわかるかな。
 


ゴミグモ(雌):ぐうっと近付いてみよう。これが家主、模様といい体形といい、はたまた脚を折り曲げて完璧な擬態だ。この家主体長8ミリほどでまだ若い
のだろう、これから食べかすや、自分の脱皮殻などをつけ足して、ゴミの固まりもクモ自体も大きくなって行く。そしてさらに擬態に磨きが入る。
 


エダシャクノガの仲間の幼虫-1:『どうだ!!』とばかりに栗の木の小枝になりきっているのはハミスジエダシャクのようだ。まるで冬芽の頭の先、節のよ
うな体の中央のこぶこぶ、枝分かれのような幹をしっかしつかんだ尾脚、そして体色「うん、小枝にしか見えないよ」脱帽だ。
 


エダシャクガの仲間の幼虫-2:こちらはキバラヒメアオシャクのようだ。コナラの幼木にいた。小枝そのものだ。
 

東谷津レポート その141

2013.3.2() 山梨 am10:00〜14:00 晴

 

「キョッキョッキョッ、キュロキュロ」谷津が騒がしい。先日の雨と気温の上昇でアカガエルの産卵の条件が整ったようで、両谷津では一斉産卵前の雄どうしの合戦が始まっていた。遅れていたホタルの里では、田んぼ、ため池や水路などの水のある所全てでの大合戦だ。近付くと一時は水底に隠れはするのだが、身動きさえしなければすぐまた騒がしくなる。『グエエグエエ』時折聞き慣れない声もする。大合戦の中にしゃがみ込んでしばしの見物、変な声の方を見ると、なんと交接中の雌雄のカップルだ、雌が来ていたのだ。なるほど、雄が興奮しているはずだ。こんな様子を近くの杭の上で、ここを縄張りにしている雌のモズがじっと見ていた。コナラの幼木の枝先ではキマエアオシャクの幼虫も動き出した。春はもうそこまで来ているらしい。
 

ヤマアカガエル:合戦中しばしの休憩、居合せた雄どうしで「まだ雌来てねえよなあ」なんて、ばつが悪そう。

 

ヤマアカガエル:興奮した雄は、陸上にまで追いかけっこだ。

 

ヤマアカガエルの交接:上の小さい方が雄。雌の前脚の下から胸元にしっかりと抱きついている。こうなるともう離れない。

 

ヤマアカガエルの交接:他の雄はカップルの間に入り込もうと鳴のうを膨らめて奇声(カエルは雄しか鳴かないのだそうだ)をあげて挑んでくる。カップルの雄も必死だ、離すものかと後脚で応戦だ。水中に潜り込んで逃げる。

 

ヤマアカガエル:私の足下で弱々しい鳴き声がする。他のカエルが一匹もいない水たまりに、病気なのか体が火ぶくれになったような雄がけなげにも来るはずのない雌を呼んでいた。

 
 

モズ:田んぼの廻りを縄張りにしている雌のモズが、杭のてっぺんで尻尾をゆっくり振りながらカエルの様子を見ていた。

 

キマエアオシャクの幼虫:コナラの幼木の枝先に何かいるぞ。

 

キマエアオシャクの幼虫:頭部に1対の角、尾部に突起、キマエアオシャクの若齢幼虫だ。いつも枝先の冬芽の間に身を隠しているのに、春を思わせる陽光に思わず散歩でも始めたのかな。(体長8ミリほど)

 
 

キマエアオシャクの幼虫:うーんと体を伸ばしたあと『よっこらしょ』とばかり尾部をもちあげて・・・。

 

キマエアオシャクの幼虫:胸元に着地、これから頭部をもちあげておもいきり体を伸ばす。この繰り返しで距離をのばす。隠れ家からはなれて、若齢のくせになかなかの冒険家のようだ。