東谷津レポート その140 |
2013.2.17(日) 山梨 am11:30〜14:30 晴 |
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東谷津レポート その139 |
2013.1.13(日) 山梨 am10:00〜15:00 晴 |
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久し振りに暖かい日となった。今日は今年初のほとけどじょうの里の作業日だ。昨年末に隣接する台地の笹薮の手入れをてんたの会がさせていただくこととなったところの最初の手入れだ。とりあえずは荒れていた山道沿いの斜面の笹を刈り払うことにし、早速作業に取りかかる。刈り払い機で約2時間ほどで、過密に繁茂していた笹が取り除かれると、また違った景色が見えてきた。今後は台地をどう手入れするかをじっくり考えて行く。そして、石窯も今年の初火入れ、昼時には「ピザが焼き上がったよ〜」と声がかかる。
『耐寒オタマ』 この真冬にオタマジャクシがいるとの耳寄りの話を覚えていた。ようやくその地に行く機会がやってきた。飯能の市街地から車を走らせ山間地に向かう。途中、車一台がようやく通れる道筋に、子供達が車を通過させるために道端に一列に並んでいた。子供達は何かを運んでいるようで、彼らの間に檻のようなものが見え「あれなに!!」「かっわいい〜」と女性達の例の発声。テンであった、早速写真を撮らせてもらい、先を急ぐ。オタマジャクシは知人宅の毎朝氷が張っているという大きなカメのなかで、メダカと一緒に泳いでいた「遅く産卵されたモリアオガエルのオタマだと思うよ」(この地はモリアオガエルが生息している)と知人は言うが、おそらくツチガエルのオタマだと私は思う。透明のケースに入れてじっくり観察し写真を撮った。女性達は何も言わず、食事会の準備でわいわいと騒がしい。1月6日のできごとである。 今年初の作業日。石窯にも火が入りピザの準備に忙しい。
台地の笹薮:畑が長らく耕作されず笹が密集していて足も踏み込めない。ここの手入れをさせてもらうことになった。
山道との境の斜面を刈り払う。 ホンドテン:仕掛けられた檻に入ってしまったらしい。ときおり「ぐううう」とうなり声をあげて威嚇する。 ホンドテン:観念したのか、うつろな眼差しでこちらを見る。足は短く、かなり胴長だ。 ホンドテン:「だしてよ〜」とでも言っているのだろうか。願いかなって、遠くの方に逃がすのだそうだ。
耐寒オタマ:越冬するオタマジャクシといえばツチガエルが知られている。家主の知人はこの地に生息しているモリアオガエルの遅く産卵されたオタマではないかというが・・・さて。
耐寒オタマ:ツチガエルのオタマジャクシは5月以降に産卵され、ゆっくりと成長しオタマジャクシのままで越冬するという。この個体も体長が6センチほどになっているが、後脚は極小さく、左目の右下方には呼吸孔が見える。 耐寒オタマ:後脚はまだ機能していないぐらい小さい。これから春までの間にどんどん成長するのであろう。
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東谷津レポート その138 |
2012.12.29(土) 山梨 am11:30〜14:00 晴のち曇り |
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天多の森は、雑木の多くが葉を落とし、冬の準備を終えたようだ。山は稜線まで姿を現して、奥までおいでよと誘っているようだ。落ち葉をバサバサと踏み分けて行ってみようか。
『マイマイカブリを見つけたぞ!!』 と言っても天多の森でではない、遠くはなれた伊豆の山間地でだ。それもひからびた死骸だが、ちょっとユニークで日本全土に居るがなかなか出会うことがない、天多の森でもいつか出会うことを願って掲載しよう。ユニーク第一日本だけにしか居ない日本固有種、第二ミミズやカタツムリなどを喰うが、カタツムリを喰わないと産卵できない、第三後翅が退化し前翅は左右が癒着して開かない、つまり飛べない、第四カタツムリを食べやすいように頭胸部が異常に細長い等々。面白い虫だ。おおっと、忘れてはいけない、捕まえるとお尻から嫌な匂いのする液体を噴射(後方だけではない上方にも噴射可能)し、それを触った手で目などをさわると大変なことになるらしいのだ。(「死骸でよかったあ」)また、海外のオサムシ収集家には憧れの的らしい。 晩秋の谷津:木々が葉をすっかり落とすと雑木の林は見通しがよくなる。落ち葉を踏みしめ奥まで行ってみよう。 ジャノヒゲの果実:足下には普段目につかないものが見えてくる。山野の林内に生える多年草、葉は一年を通して緑色を保つ。 ツルリンドウの果実:林床に生える蔓植物だが、地をはっていることが多い。紅紫色の果実は固そうに見えるが水分を多く含んだ液果だ。
クヌギカメムシ:草木の葉はすっかり落ちてしまい、かくれる場所が見つからなかったのか、昨夜の雨に打たれて冷えきったのだろうじっとして動かない。背中にはまだ雨粒が残ったままだ。
チャバネフユエダシャクの雌:雑木林の紅葉が終わり葉がすっかり落ちると出現するフユシャクの仲間。蛾の仲間だが雌はこのように翅が退化して飛べない。雌は雄との巡り会いに匂いを出して居場所をしらせるという手を使う。 チャバネフユエダシャクの雌を正面から見たところ。足下には小さな虫が驚きの形相で見上げている。
フタオビヒラタアブの幼虫:幼虫で越冬するこの虫は、木の幹で獲物が通りかかるのをじっと待つ。この保護色では、獲物は何も気付かず不意に襲われるのだろうからたまったものではない。(上が頭部) クスサンの繭:案内板の裏にあった。粗い編み目状の繭の中は空っぽ、横にあいた穴は成虫になって脱出したのか、あるいは寄生者が脱出した穴かも知れない。
マイマイカブリ:細く長い頭胸部はカタツムリの殻の中にその頭を突っ込んで喰うために進化した独特の体系だ。翅は左右が癒着して開かない。飛べないので地上を歩き廻り、ミミズやカタツムリを探しまわる。(体長40ミリほど) マイマイカブリの頭胸部:いかにも頑丈そうな大顎、この大顎でカタツムリの殻の軟体部に噛みつき、穴をあけて消化液を注入し肉を溶かして食べるのだそうだ。前方に突き出ているマサカリのような触角(?)左右に2本づつ4本ある。
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東谷津レポート その137 |
2012.12.2(日) 山梨 am11:30〜14:00 晴 |
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ここ数日の冷え込みが雑木林を染め始め、落葉樹は北風にはらはらと葉を落とす。そんな風情の入間川の河岸林を散策してみました。そして、フユシャク(冬期に成虫となり活動する蛾の仲間)がいよいよ出現だ。
飯能市街を流れる入間川の河岸林の紅葉。
キッコウハグマ:雑木林のなかで落ち始めた葉に埋もれかけていた小さなちいさな(直径6ミリほど)花、見落としてしまいそうだ。おまけにこの植物は、閉鎖花というつぼみのままで開花しないものがほとんどで、見つけるのを難しくしている。この小さな花は、さらに小さな花が集まって咲いている。では・・・。 キッコウハグマ:ほらこのとおり、5枚の花びらをつけた管状花が3個ついている。必ずこの状態で咲くのだ。横から見てみると・・・。
キッコウハグマ:ちょうどよい株を見つけた。花を横から見た図、1つのつぼみから3っの花が咲き始めた。左の咲きかけたもの意外のつぼみは閉鎖したままはなを咲かせることなく種となる閉鎖花だ。
フユシャクの仲間:いよいよ現れたフユシャク、ミドリアキナミシャクであろうか(同定には自信なし)、雑木林沿いを通る道の標識の支柱に留っていた。これがコナラ等の幹にいたものなら全く気付かないだろう。 オオトビモンシャチホコ:コナラの大木の苔むした根本でじっとしている。夜遊びに忙しく、保護色で身を隠す場所を探せなかったのだろうこんなに目立つ場所にいた。
キノボリトタテグモの巣穴:コナラのでこぼこした樹皮を利用して巣穴をつくってあった。このクモの仲間はトタテの名の通り、巣穴の入り口に扉をもっており、扉をほんの少し開けて獲物が近付くのを待ち伏せする。この巣は放棄されたようで、扉が明けっ放しになっていたので見つけることが出来た。では扉を閉めてみようか・・・。
キノボリトタテグモの巣穴:巣網を張らないこのクモは扉と巣穴(扉の下に数センチ見えている)の表面に近くの苔や木屑、樹皮などで偽装し、この通り、まるで目立たない。この扉の陰にかくれて獲物を狙い、瞬時のうちに捕らえて引きずり込むのだからたまったものではない。 クヌギカメムシ:雑木林沿いのてすりの上でたたずむ。派手さのないカメムシだが、この季節は脚を赤く染め美しく寂びる。でも何かアンバランス、と思いきや、右側中間の自慢の美脚を1本失ったらしい。
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東谷津レポート その136 |
2012.11.11(日) 山梨 am9:30〜14:00 曇り |
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てんたの会の月例イベント、日よう日ふる里散歩『晩秋の山歩き”ゆっくりと秋深まる山道を楽しみませんか”の巻』で本郷入りから多峯主山、御嶽神社を下りて車道を出発点まで戻るコース。ところが、ガイドは本郷入りの沢沿いの山道から脇にそれて、『ここから藪こぎしてみましょう』とのかけ声で手入れされていない雑木林のなかへ入り込んだ。ブッシュをかき分けたり、倒木を乗り越えたり、獣道をたどったりして、常緑樹の林や萱場などを通り整備された山道にでる。ガイドさんの粋なはからいでちょっぴり野性味のある”ゆっくりと秋深まる藪こぎを楽しんだ”1日でした。 いざ藪こぎへ:『ここから雑木林を藪こぎしましょう』とのかけ声で、いざ出発。 常緑樹の林:雑木林の斜面を登って行くと、山腹に常緑樹が茂る台地があった。陽光が地表まで届かないために薄暗く、草木が生えていない。 萱場後:カヤが群生している場所に出た。茅葺きの屋根など、生活の一部にカヤを使っていた時代の名残なのだろう。下に向かって斜面にカヤが生い茂っている。 雑木林:紅葉が始まった雑木林。農道か隣村への連絡道か、足下には消えかけた古道が続いていた。 チャの花:多峯主山周辺では、山頂近くまで畑が作られていたとのこと、ここ本郷入りの尾根でもその名残があちらこちらで見られる。これは茶の木、今が花の時期だ。
ヒラタケ:天多回廊の西端にある御嶽神社奥社から下山する途中は間伐が進んでいる。間伐された株から見事なヒラタケがでていた。ヒラタケは鍋物や炒め物に入れると美味なそうな。 ヤクシソウ:この時期、山道沿いに咲く花は少ないので目立っている。薬師草と書くが、由来は各種あり、よくはわからないそうだ。
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東谷津レポート その135 |
2012.11.3(土) 山梨 am10:30〜14:30 晴 |
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谷津の草原には緑が極端に少なくなって、多くの植物が冬枯れてきたようだ。そんななかで緑を保っている植物がある。シダの類だ。ほとんどのシダの類は真冬でも緑を保つ。特に常緑樹の林床にあるシダは深い緑を保つ。そんなシダを食草にしている虫がいる。 『マダラツマキリヨトウの幼虫』ガ類ヤガ科 体長30ミリほど 林床に群生するシダからその小さなイモムシを、ましてや、そのシダの生態の雰囲気にそっくりに溶け込んだ体色でじっとして動かないものを見つけ出すのは至難の業だ。そのムシがみつかったと虫友(この人、至難の業を会得しているらしい)より連絡があった。早速出かけ、それらしい食痕の株をみつけ、大きな葉を1枚1枚舐めるように探した。見つからない、ちょうど通りかかった知人の目を借りて探したがだめだ、いない。越冬のために土中に潜って蛹になってしまったのだろうか、遅かったのだ諦めよう。翌日、諦めきれない気持ちを抱え、再度挑戦、昨日探した同じ株にそれはいた。ちょこんと何もなかったように美しい姿態を見せてくれた。
マダラツマキリヨトウの幼虫:大きく広がったシダの葉の中間部位に擬態しているのだろう。黒い斑紋はまるで葉の隙間のようで、葉そのものへの擬態というより全体の雰囲気に溶け込んでいるようだ。(写真左が頭部、体長30ミリほど) マダラツマキリヨトウの幼虫:顔面が見たくて3時間後に再び訪れると、少しだけ移動していたが、下を向いたまま黒い縦斑紋の顔面は見せてはくれなかった。
クロキシタアツバの幼虫:まだ緑色のカラムシの葉をかじっている。このイモムシは頭や顔面にまで無数に黒点がある(左側が頭部)、老熟するとかじっているカラムシの葉を巻いて簡単な繭を作り、その中で蛹となって冬を越すとのこと、そろそろその準備に入るのだろう。(ヤガ科、体長25ミリほど)
ビジョオニグモ(雌):平地から山地まで広く生息し、円形の一部が切れている網を張り、切れた部分の上方の葉に天幕状の住居を造り、その中に潜んで獲物が網にかかるのを待つのだそうだが、この個体は、橋の欄干にいたものだ。どこが美女なのだろうか、腹部は白色で後方に行くにつれて青緑色が増し、さらに黄色の横条と黒色の点斑が横に並ぶなどの美しい模様が美女なのだそうなのだが・・・、では後から見てみよう。(体長10ミリほど) ビジョオニグモ(雌):美女に失礼してお尻側から見せてもらった。美女ねえ、ボリュームはあるのだが・・・。
ヤマトシジミ:春先から晩秋まで草原で一番よく見る小さなチョウ。ちょこちょこと動いて、なかなか写真を撮らせてくれないが、この時期になると朝夕は寒さのせいかじっとして動けなくなる。(前翅の長さ12ミリほど) ヤマトシジミ:こちら翅表、体温を上げて飛び立とうと翅を広げて効率よく陽光を浴びるシーンにも出会うのがこの時期だ。
ホソヒラタアブ:残り少なくなったアザミの花を見つけた小さなハナアブ。飛翔が上手く花に止まるときはホバリングして場所を選ぶ。春先からいろんな花で見かけるが、この時期まで見かけるのは、成虫越冬なのだからだ。 マルガモ:河原の冬枯れた植物の中で首をのばして何かに警戒しているのは、おそらくマルガモであろう。マガモとカルガモの交雑種だと言われるこのカモ、両者の特徴を少しずつ持つが、交雑種のため繁殖能力がないのだそうだ。
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東谷津レポート その134 |
2012.10.21(日) 山梨 am8:30〜15:30 晴 |
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暑いくらいの秋晴れに恵まれた。今日は「東谷津ほとけどじょうの里」で始めての試み『てんた里山バザール』の開催だ。これはてんたの会の拠点にたくさんの人が集め、会の活動の理解を深めるとともに、谷津の素晴らしさを知ってもらおう、また、自分たちも保全作業ばかりでなく、楽しく過ごす1日を作ろうと企画したもの。バザール出店の呼びかけに11店舗が応じてくれどうやら格好がついた。午前11時に開店すると、てんたの会の会員や、天多の森に来たハイカー、散歩の途中に立ち寄る人たちなどで予想を遥かに超える入場者でごった返し、わいわいとバザールやミニコンサートを楽しみました。
10月の谷津は他にも、小さな峠を一つ超えたホタルの里では小学校のフィールドワーク、稲の脱穀等が行われ活気に満ちています。そして、静かな晩秋から静寂の冬に入って行くのです。
里山バザール−1:朝皆が忙しく開店の準備。てんたの会は石窯で焼くピザと焼き芋を用意した。 里山バザール−2:午前11時、バザール開催。山道を通るハイカーや噂を聞きつけた人たちでにぎわうてんたの会の拠点「東谷津ほとけどじょうの里」
里山バザール−3:チェロとピアノ(シイセサイザー)でミニコンサートが始まると、谷津は幻想的な雰囲気に包まれた。(ここは音響効果がよくアコースティックな音づくりも出来ることが判明)
小学生のフィールドワーク:10月11日、フィールドに解き放たれた小学3年生85名。みなおもいおもいに昆虫採集やら、田んぼの散策やらに散って行き、あちらこちらで歓声が湧く。『足が抜けねえよ〜』助っ人とともにしりもち、『シッポが生きてる〜』カナヘビを捕まえて尾切りされた尻尾を持ったまま仰天の女の子、などなど。
脱穀:10月13日、ホタルの里で収穫した稲を脱穀。昔ながらの農具を使い脱穀(写真中央の足踏みの機械)、箕ですくいあげた籾を藁かすと分離する唐箕(とうみ、写真左の箱状の機械でハンドルを回し風を送る)にかける「はんのう市民環境会議」の皆さん。5月に植えた苗は籾摺りを終えた状態で43キロの収穫でした。
ビロードハマキ:いちど見たいと思っていたものを小学生たちが見つけた。翅がぼろけて瀕死の状態だが、派手な模様が伺える。この体色は威嚇色で毒々しさを見せつけているのだそうだ。(ハマキガ科、体長3センチほど)
クマバチ:夏大きな羽音をたてて花から花へ飛び回っていた大型のハナバチ、残り少なくなった花を求めてまだうろうろしているが、羽音が弱々しく聞こえるのは秋のせいかな。
オオアオイトトンボ:秋、去り行く虫もいれば、姿を現す数すくない虫もいる。このトンボは暑い夏は林内で過ごし、秋に成熟すると水辺に戻ってきて恋をし、晩秋まで生き延びる。成虫越冬こそしないが寒さに強い種だ。 ヤマハッカ:ハッカの名がつくが香りはほとんどない。山野の林縁で青い小さな花をいくつもつける多年草。
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東谷津レポート その133 |
2012.10.7(土) 山梨 am9:30〜14:30 晴 |
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谷津田の稲刈りも終わり、カヤの穂は花を咲かせて秋に入ったようだ。久し振りに天覧山山頂に行き、鷹の渡りの観察の人たちと話をした。鷹の渡りもピークを過ぎたようで(9月末のある日は200羽を超えた日もあったとのこと・・・もちろん彼らはその日時や種類等の詳しいデータを持っている)、ぽつりぽつりと単独で通過するのが見られるだけになったようだ。「あそこにエゾビタキがいるよ」と空から目をを離して指差してくれた。枯れ枝の先に陣取って、飛び立っては戻り飛び立っては戻りを繰り返しているこの小鳥もまた渡りの途中なのだそうだ。「もう渡りは終わりですか」と聞くと「いやまだ来るさ」と寂しげにまた空を見る。谷の方からモズが縄張りを主張して鳴いている。カケスが飛ぶ先には遠くの山々が幾重にも青くかすむ。
エゾビタキ:渡りの途中で日本に立ち寄る旅鳥。見通しのよい枯れ枝の先でキョロキョロしては飛び立ちすぐまた戻るを繰り返していた。トンボなどをフライングキャッチしているのだそうで、体のわりに目が大きいのはそのためなのだろうか。
オオミズアオ(蛾)の幼虫−1:カエデ科の木の下に大きな糞がゴロゴロしていた。これは大きな蛾の幼虫がいる証拠と頭上に目を移し、食べられた枝先の近くをよく見ると、葉色にとけ込んだ巨大な塊か見えた。
オオミズアオの幼虫−2:ちょっと手を伸ばし、恐る恐る枝をたぐり寄せて撮らせてもらった。重い体を太い脚で支えてぶら下がった状態で葉をむさぼる。背中にはいくつもの突起がありその先には刺毛が生えている。これがあの『雑木林の妖精』オオミズアオ(成虫はレポート-123参照)の幼虫の姿だ。終齢幼虫になると木を下りて枯れ葉の中に繭を作り、蛹になって越冬する。(体長70ミリほど)
アゲハモドキ(蛾)の幼虫:虫友の指差すミズキの葉裏に数匹の本種、久し振りに出会った。体じゅうに白い突起があるが、これは体の一部ではなくロウ状物質で自らを覆っているのだ。どちらが頭なのか尻なのか、そのうちの1頭が動きだす、左が頭だ(体長35ミリほど)。成虫はジャコウアゲハに擬態しているとのことだが、まだ見たことはない。
ハグロハバチの幼虫:イタドリの葉が何かにかじられていた。そっと裏返すと、小さな(体長20ミリほど)イモムシ、頭部は黄色で胴部背面は半透明っぽい灰緑色、腹面と尾節は淡い橙黄色で体側には黒い斑点がならぶ奇麗な体色。葉裏にこの姿勢で落ちないのだから不思議だ。
キクズキコモリグモ:稲刈りが終わった水田でよく見る子守りグモ。卵(後脚の下にある円形のもの)を糸をだすお尻の突起につけて持ち運び、孵化した子グモを背中に乗せる。
シロスジベッコウハナアブ:アザミの花粉を一心になめていて近付いても気付かない。このアブの幼虫が凄いらしい、クロスズメバチやツヤクロスズメバチの巣から見つかるのだそうだ。 ミドリヒョウモン:ホタルの里ではアザミの花を求めて俊敏に飛び交う。飛去ってもじっと待っていれば、すぐまた戻ってくる。 タマゴタケ:その名の通り、まるで卵から生えてくるようだ。卵をを割って頭を出すとあっという間に伸びる。頭の上の白いのは卵の破片。 ギンリョウソウモドキ:初夏に咲くギンリョウソウ(レポート-48参照)が秋にも・・・いや、別名をアキノギンリョウソウと言う別種だ。山地に生え、なかば分解した有機物を栄養分として育つ腐生植物だ。葉緑体を持たないので葉も白色で茎を巻いた鱗片葉となる。
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東谷津レポート その132 |
2012.9.29(土) 山梨 am9:30〜14:30 晴12:30 晴 |
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猛烈に暑かった夏もようやく終わったようだ。田んぼの稲は黄金色に変わり、山あいの谷津田にハザカケが組まれると赤とんぼがお似合いだ。
『赤とんぼ』 「赤とんぼ」という名のトンボはいない。赤とんぼとは、アカネ属のトンボ21種を総称して愛称ているようだが、日本にはアカネ属以外にも「赤いトンボ」が14種いて(イトトンボ類のように翅を背中に合わせて止まるトンボは含まない)それらも含めて『赤とんぼ』としている人たちもいるらしい。また、ほとんどの種とも雌は赤くはならないし(ただし、雄化した雌って言うのがいて、それらは赤化するらしい)、雄も若輩者は雌と同じ色で赤くない。たかが赤とんぼと思っていたがなんだか紛らわしいので、ここでは後者を採用して、天多(天覧山・多峯主山)周辺で見られそうなものを追ってみることにした。アカネ属としてアキアカネ、ナツアカネ、マユタテアカネ、マイコアカネ、ヒメアカネ、ミヤマアカネ、ノシメトンボ、コノシネトンボ、リスアカネ、キトンボ、オオキトンボ、ネキトンボの12種、赤いトンボとしてショウジョウトンボ、ウスバキトンボの2種、その特徴や雌雄も撮りたいと思うが、こうして並べてみると、たかが赤とんぼされど赤トンボ何時までかかることやら。天多の森の境界線を超えて宮沢湖とか巾着田あたりまで出向かなくてはならないかも。(ノシメトンボの雄はレポート-129,ショウジョウトンボはレポート-125参照) 谷津田のハザカケ:谷津田の稲刈りが始まり、刈り取られた稲がハザガケされると赤とんぼの季節到来だ。 アキアカネ−1雄:夏の間は高山に移動し、下界の気温が下がると里に下りてくる。雄は成熟すると胴体の上部だけが赤く染まる。 アキアカネ−2雌:こちらが雌、赤とんぼとは言っても雌はほとんどの種の雌は赤くはならない。胸の側面の模様も種類確認の目印となる。
マユタテアカネ−1雄:雄は成熟すると腹部と胸部背面の翅の付根まで真紅に変色する。額に眉のような形の黒い斑紋があるところから「眉立茜」と名がついた。雄は腹部の先端(尾部上付属器)が上に反り返る。 マユタテアカネ−2雄顔面:これがその眉。大きな複眼の間の顔面の安物のサングラスのような黒い2つの点が眉、これがまたマンガチックでいい味出してる。
ヒメアカネ−1雄:小さな(体長17〜24ミリ)赤とんぼ。雄は成熟すると腹部が真紅に染まるが腹部下面に黒点が目立つ。この種も額に小さな眉をつけている(眉なしの個体もいる)。胸部側面の模様は単純だ。 ヒメアカネ−2雄顔面:雄の顔面は成熟すると黄白色から白色に変わり、胸部前面(頭の後)には2つのアイマークがある。
ヒメアカネ−3雌:オベリスクのポーズ(赤トンボがよく見せるポーズ、腹部を上に向けて太陽の光を受ける面積を最小にすることで体温上昇を防いでいる)をとる雌、この個体は額に眉斑あり。胸部前面には2つのアイマークがくっきり見える。
ノシメトンボ雌:雄は成熟しても赤くはならず橙黄色となる(レポート-129参照)。翅に斑紋のある3種(他にリスアカネ、ミヤマアカネ)のうちの1種。このトンボも額に小さな眉斑を持っているのがわかるだろうか。 ハグロトンボ:これは赤トンボではないが、谷津に向かう途中の飯能河原で今年2度目のハグロトンボの雄だ。昨年までは何度となく、数匹の姿を見たのだが・・・・。このトンボは河川改修をすると激減するそうだが、この河原では川の復元とやらで昨年一昨年と大改修が行われ、数が減ったのはそのせいかもしれない。翅がぼろけているが、雌には出会ったのだろうか。
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東谷津レポート その131 |
2012.9.11(土) 山梨 am10:00〜15:30 am8:30〜12:30 晴 |
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そろそろ9月も中旬、なのに真夏日と残暑はまだまだとうぶん続きそうだ。この暑さのせいなのか山道に落ちるドングリも例年よりはすくないようで、チョッキリも恋する意欲もわかないようだ。雨が恋しい谷津の今日この頃です。
『ウンモンスズメ(蛾)』スズメガ科 開張30〜38ミリ セメントの壁に何か止まっている。こんなところに「モモスズメだ!!」以前撮影に失敗していたのでとっさに名前が出た。今度こそはと近付く、夜行性の蛾は少々乱暴に近付いても逃げないのであらゆる角度から撮らせてもらった。が、ファインダー越しに見ているとモモスズメとはちょっと違うことに気付いた。図鑑で調べると『ウンモンスズメ』だった。スズメガの仲間は、体が大きくがっしりしていて、翅は細長く非常に早く飛ぶことが出来、留まっているときは翅を斜め後に少し開いてまるでジェット戦闘機のようだ。
ウンモンスズメ−1:スズメガの仲間、翅はいかにも高速で飛行できる形だ。夜灯火に誘われてきていたが、明るくなって行き場をん失ってしまったようで、セメントの壁にいた。新鮮な個体は体と翅が緑色がかっているというから、まさに迷彩色塗装したジェット戦闘機のようだ。 ウンモンスズメ−2:横から見ると体全体が空気抵抗を極力すくなくするための形だ。頭はカバーで覆って突起を緩やかにしているようだ ウンモンスズメ−3:これが頭部、緩やかにもりあがり顔面は頭の下に、触角は細く頭に密着している。 ウンモンスズメ−4:前方から見る。まさに出番を待つ飛行物体だ。
アアケビコノハ死骸:道に落ちていた死骸。頭部はないが、後翅の黄色地に黒の渦巻き模様は通常見ることは出来ない、死骸だからこそじっくり見られるなのだ。(幼虫は奇異な形をしている。レポート-121参照) シロヒトリ:外観は純白でか弱そうだが、敵が近付くと翅を広げ腹部背面の赤と黒の派手な斑紋を見せて威嚇するのだそうだ。 アシグロツユムシ:夜行動し小さな昆虫などを食べる食肉性だが、昼間は葉陰で静かにしている。逆光から見ると翅脈が美しく現れる。 オニヤンマ(雄):谷津を巡回パトロール中の雄が一休み。歴戦の勇士なのだろうか、尾先にクモの糸をつけている。クモの巣を突破する術を得ているのだろう。 アギナシ:湿地の草むらから大きく茎を伸ばして花をつける。葉の部分は草むらののかで見えない。 ナンバンギセル:谷津のカヤや笹の根本に咲く、背が低いのでかき分けないと見ることは出来ない。 アキノタムラソウの白花:通常は薄紫色の花だが、一株だけ咲いていた白花。この谷津で始めて見た。
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