東谷津レポート その120

2012.5.27() 山梨 am9:30〜15:30 晴れ

 

今日は第四日曜日、午前中はほたるの里で「はんのう市民環境会議」の耕作地の作業日での田植えに参加した。田植えは、1本の苗しか植えない異色の方法を採り入れたものだ(通常は5、6本植える)。『1本植えは、谷津田の限られた栄養素(さらにここでは無肥料無農薬を実施)を効率よく取り入れ、大きく根を張り株は数本に太り丈夫に育ちます』という説明、事実、昨年1枚の区画で試作し良好な結果を得たもので、今年は全4枚で取り入れた。田植えは約1時間で完了、植え終わった田んぼは何となく頼りなさそうだが期待しよう。さて次は午後の部、東谷津ほとけどじょうの里での定例作業に向かう。道中の山道は、一昨年からの大間伐とその下草刈りで、今花盛りのはずの低灌木はほとんどが切り取られたため殺風景だ。そのためか、数少ない花木には蜜を求めて昆虫達が過密状態だ。
 

谷津田の田植え:一列に整列し、谷津田特有の深い泥に足を取られながらゆっくり進む。
 


コミスジとイチモンジチョウ:マルバウツギの幼木の花では、翅が触れんばかりにつばぜり合いをしながら花蜜を吸うコミスジ(写真向かって左側)とイチモンジチョウ。
 


トラフシジミ:同じマルバウツギの端のほうで遠慮がちに吸蜜する小さな蝶がいた、トラフシジミだ。
 


ジョウカイボンの交尾:マルバウツギから少し離れたところのガマズミの幼木の花にも来訪者がいた。こちらでは花園でロマンチックのようだが、雌は顔じゅう花粉だらけにして喰い気が先のようで、必死にしがみつく雄を引きずり回して花から花へ。
 


クロハナムグリ:ガマズミで動き回るジョウカイボンを追って行くと、黒地にモザイク模様の翅が見えた。文字通り花に頭を突っ込んで花粉を食べていたのはクロハナムグリ。頭を見せるのは、一つの花の花粉を食べ終えて次の花に移るときだけだ。
(体長11ミリほど)
 


シロテンハナムグリ:こちらも花に潜り込んで食欲旺盛、どのハナムグリ類とも食事中は無防備なのでぐっと近づけるのだが、頭をなかなか出してはくれないので写真を撮るには待つしかない。(体長20ミリほど)
 


ヒゲコメツキ:近くにいた立派なヒゲ(触角)を誇らしげに見せつけているのはヒゲコメツキの雄。この立派なヒゲを持つのは雄だけで雌のヒゲは質素なものだ。(体長25ミリほどでヒゲは体長には入れない)
 


ヒゲナガハナノミ:こちらも立派なヒゲを交互に動かして誇らしげだが、近づくとすぐ飛んで逃げる。雌は前種と同じく質素なヒゲで体色も黒い。実は、この雌の体色で最近までメスグロホタルコメツキと思っていた、この時期谷津の草原で一番目につく昆虫。(体長10ミリほど)
 


オオミズアオ:翅を広げると70ミリほどもあり、薄い水色がかった翅に長い尾状突起を持ち、さらに夜行性で雌はフェロモンをだして雄を呼び寄せるというエキゾチックな我、オオミズアオだ。敵に教われたのか美しい翅はボロボロになり、舗装路に横たわっていた。触れてみると、翅をかすかに動かす瀕死の状態であった。もう命を受継いたのだろうか、この「森の妖精」の美しい姿にいつか合えるのだろうか?
 


オカタツナミソウ:ヒノキの植林地の薄暗い林床にひっそりと咲く。花の形といい色といい何とも美しく、ファインダー越しに見入ってしまった。

 

東谷津レポート その119

2012.5.16() 山梨 am10:00〜15:00 晴れ

 

谷津を取り巻く雑木林の木々の若葉もあっという間に大きく成長し緑色に変わった。その若葉を食し、ともに成長するのが蝶や蛾の鱗翅目の幼虫の『イモムシ』達だ。その配色には目を見張るほど美しいものがいる。このイモムシの類、私個人的には大の苦手なのだが、この時期を逃すと見られなくなるものもいるので、勇気を持って近づき、息を殺してシャッターを切った。(ここ一週間ほど撮りためたもの)


オオシマカラスヨトウの幼虫:樹上のイナバウアーでも気取っているのかなと思いきや、いつ出会っても梢に腹脚と尾脚を固定してぶら下がっている。実はこのポーズが定番なのだ。透き通るような緑のボデーに白いストライプで尾部に円錐形の突起があるのが特徴。(体長40ミリほど、風が止まらずピンボケ)
 


テングチョウの幼虫:食草のエノキの若木の葉上で脚を踏ん張って上半身を持ち上げ得意のポーズ、だが、驚くと糸を引き下垂するらしい。木をゆらさないようにそっと近づく。(体長20ミリほど)
 


ホタルガの幼虫:灰色、黒、黄色で美しく配色している。左先端が頭部なのだが、頭は見えていない。葉を齧るときに頭を出してくる。この虫は柔らかい若葉よりも固い葉が好きなのだそうだ。(体長20ミリほど)
 


シロシタホタルガの幼虫:黒色の地に黄色、ピンク色の配色はまるでトトロのねこバスのようで、サワフタギの若葉の上で目立っている。左端の頭は引っ込めている。先レポート117の数ミリから体長20ミリほどに大きく成長した。
 


オオミドリシジミの幼虫:この個体はカシの若葉の裏にぺたりとくっついて静止している。横から見たものであり、下向きの頭や脚は見えていない。この一見ナメクジのようにぺたりとくっついて静止するのは、シジミチョウ類の幼虫の特徴のようだ。(体長20ミリほど)
 


ヒメノコメエダシャクの幼虫:アオキの深緑の中で目立っている。撮影に葉が邪魔なので、棒で(素手ではどうも)無理やりポーズを変えようと虫にお願いしたのだが、この通り体をまるめふられてしまった。こうなると尺取り虫はテコでも動かないというので、仕方なくパチリ。(体長50ミリほど)
 


チャバネフユエダシャクの幼虫:成虫が真冬に出現するフユシャクガの仲間。成虫は地味な配色(レポート-108参照)だが、幼虫はこの通り。何故か地面の苔の上を歩いていた。(体長30ミリほど)
 


ホソウスバフユシャクの幼虫:ビロード様の黒のボデーにからし色の頭と脚、尾脚の一部と渋い配色。緑色の固体も居るそうだが、こちらのほうが俄然いいねえ。何故かチャバネフユエダシャクの幼虫のすぐ近くの地面を歩いていた。(体長20ミリほど)
 


トンボエダシャクの幼虫:黄色地に黒の長方形のはっきりした単純なデザインがかえって目立つ。雑木林にはこのようなイモムシがたくさん見られるぞ。

 

東谷津レポート その118

2012.5.5() 山梨 am9:00〜15:30 晴れ

 

ここ何日か暑い日が続いたせいか、谷津では野草が一気に花を咲かせ始め、水辺ではまだ種類は少ないがトンボが飛び始めあちらこちらで見かける。水辺の生き物と言えば、すごいシーンに出くわした。

『蛇の捕食』(リアルな自然の状景ですが、ヘビの苦手な方は6枚目以降の写真は見ないほうがよいかも知れませんよ)
 ため池(通称トンボ池)の縁で今年初のヘビを見た。しっぽを見付け「何蛇かな」と胴体の方へ目を移すと、赤い斑紋が目立つ「ヤマカガシだ」、黄色の斑紋が入った頭部が見たくてさらに目を移す。大抵の場合ヘビは、こちらより先に人気を察知して逃げ出すので、頭部をじっくり観察することは難しいのだが、このヘビ動きが鈍い。「ヘビにとってはまだ寒いのかいな、じっくり見るチャンス」草に隠れた頭部を覗くと、口を大きく開き「なななにかくわえてる!!」緑色の塊、シュレーゲルアオガエルを捕らえていたのだ。こちらには気付いているのだろうが、カメラを構え動かない私は危害を加えないと知ってか、カエルをくわえてままゆっくりとだが力強くこちらを見ながら後退りして草原に消えた。
 

キンラン:歩道沿いに今年も咲いた。数日前までは姿もなかったのにもう花をつけている。
 


キジバト:春から初夏にかけてぐっと近づくことが出来る。こちらの歩調に合わせて歩いてくれるのだが、立ち止まると身構えてハト独特の羽音をたてて飛び立つ、この写真は歩きながら撮った。
 


マツモムシの交尾:後足をオールにして背泳ぎの得意なこの虫、いつものようにすいすいとは泳いでいない。よく見ると交尾中であった。水底に映った影を見ると両者の前足と接合した尾部だけが水面に出ているようだ。
 


ヒガシカワトンボ(雌):「なあんだカワトンボか」と見過ごしがちだが、よく見ると美しいトンボだ。翅の色が透明型と橙色型の2種類ありこれは透明型。最近のDNA鑑定によりニホンカワトンボと呼んでいるようだ。
 


シオヤトンボ:いわゆるシオカラトンボよりやや小型で池や田んぼのまわりでごく普通に見られる。胴から尻先にかけて白化している、成熟した雄だ。
 


ヤマカガシ-1:人の気配を感じるとさっと逃げ出すこのヘビも何故か動きが鈍い。シュレーゲルアオガエルを捕らえていたのだ。頭をくわえられたカエルは窒息したのか、尻から腸が飛び出しぴくりとも動かない。
 


ヤマカガシ-2:ヘビは頭を動かし、口を開いては少しずつ飲み込もうとするのだが、獲物が大きすぎたのかなかなか飲み込めない、時間がかかりそうだ。
 


マカガシ-3:私に気付いたらしい。カエルをくわえたままづるづると後ずさりして行く。
 


ヤマカガシ-4:さらにハイカーがよってきて騒ぎだすと殺気を感じたのか、カエルをくわえたまま草原に消えた。

 

東谷津レポート その117

2012.4.29() 山梨 am9:00〜15:30 晴れ

 

4月も終板、谷津に緑が多くなってきた。遅れていた今年の谷津の春もここ数日の暖かさで急激に進んだ。林道を歩いていると、すうっとよい匂い漂っているところがある。「おっ、ホウノキの花の匂いだ!!」見上げると、何枚かの大きな葉の上にまるで蓮の花のような白い大きな花びらを広げていた。里山は例年の季節の移ろいに追いついてきたようだ。

『オタマジャクシの生活史を追って』その1
 春本番になるとアカガエルのオタマジャクシは水面に口を開いてぱくぱくと空気を吸っているような行動をとる。この仕草は単独でやっているのもいれば、数匹数十匹が群れをなして一斉にやっているのもいる。『酸欠、それとも上陸してからの肺呼吸の練習?』との質問されたが、私は知る由もなく答えられなかった。「う〜ん、何のためだろう」こんなに身近なオタマジャクシなのに知らない見たことないことだらけ、それではと上陸までの生活史をシリーズで追ってみることにした。
 

アカガエルのオタマのくちパクパク:オタマはある程度成長すると、水面でくちをぱパクパクさせているのをよく見かける。
 


オタマの後ろ足:くちパクオタマをすくってみた。目の右斜め下(体の中央)に穴が見えるが、これはエラ呼吸の排水口だ。まだえら呼吸中なのだ。尾と胴体との間に突起があるが、これは足の芽、これが成長し足となるのだが、既に足として踏ん張っているようだ。"足はやがて出る"のではないのだ。手は芽もなく"手が出る"ようだ。(写真は露出オーバーに加工)
 


カゲロウの幼虫:オタマをすくったときに網に入っていたもの。体の特徴から(体側にエラがある)カゲロウの幼虫で、サホコカゲロウの幼虫と思われる。(体長7ミリほど)
 


キマエアオシャクの幼虫の変色:コナラの若葉が成長して緑色になるのに合わせて変色した。自分のいる環境に合わせたのだ。
前回のレポート-116(別個体)と比べてみよう。
 


シロシタホタルガの幼虫:芽吹いて間もないサワフタギの小さな葉裏にいた。体長5ミリほどの若齢幼虫だが、この体色のままで終齢(25ミリほど)まで変わらない。
 


ウンモンテントウ:「てんとう虫か」と見過ごしそうになったが、背中の斑紋が今までのものと違う。「ウンモン(雲紋)テントウだ!!」初めての出会い、それもそのはず、非常にめづらしく生態がまだよく分かっていないのだそうだ。
 


アオオニグモ(雌):ヒノキ林の林床の柑橘類の幼木の濃い緑色の葉上で白い点が目についた。体長が9ミリほどのと小さいが、メタボな腹部の色合いと模様が愛らしい。
 


ワカバグモの脱皮:動植物の観察をしているとよく見かけるクモだが、今回は脱皮直後のものに出会った。若葉の頃、逆光を意識して撮るのが美しく撮れるので前レポートに続き度々撮ってしまう。(脚先の半透明なのが脱皮殻)
 


クロヒカゲ(蝶)の蛹:前回のレポート(116)で前蛹を紹介したが、翌日同じ場所に行ってみると蛹になっていた。それから今日で7日、あと2週間もすれば羽化するだろう。(全長2センチほど)

 

東谷津レポート その116

2012.4.22() 山梨 am8:30〜12:00 曇り

 

さて今回はいつものフィールド東谷津ほとけどじょうの里を少し離れて、埼玉県みどりのトラスト保全4号地(入間川の飯能河原沿いの河岸林)のイベントにスタッフとして参加、自然観察の道すがらの動植物をレポートしよう。遅れていた雑木林の木々もようやく芽吹き、昆虫達の活動も活発になってきた。

前日(4/21)東谷津でのトウキョウサンショウウオとアズマヒキガエルの産卵の遅れ(同じく遅れていたホタルの里では確認しているが、数は激減している)が気になって探してみたが見つからず、今年はもうこないのだろうか、シュレーゲルアオガエルは騒がしく鳴いているのだが・・・・・。
 

ミヤマキケマン:よくみかけるムラサキケマンの黄花版、この辺ではあまり見かけないようだ。
 


ワカバグモ:巣網を張らず葉や花に近くで獲物を待ち伏せして補職する。若葉の上で首尾よく獲物を捕らえた。
 


イチモンジチョウの幼虫:ウグイスカグラの若葉を食べている。25ミリほどの体長で葉色と同色のため目立たない。
 


クロヒカゲ(チョウ)の幼虫:幼虫時代も終齢となり蛹への最後の脱皮を待つ前蛹。トラスト地と道路の境にある杭と杭の間に張られたロープを蛹化の場所に選んだようだ。クロヒカゲの幼虫は淡緑色と淡褐色型2種類あるそうだが、こちらは淡褐色型なのにまた目立つ場所を選んだようだ。近日中に蛹が見られるだろう。
 


ハチの眠り:若葉の先端に何かある。ゴミでもついているのかいなと近づいてみるとハチであった。巣を持たないヤドリバチるいには眠るとき大顎で葉などをくわえ宙吊りで寝る種がいるそうだが、これがそのようで初めて見る光景である。(体長10ミリほど)
 


ネグロセンブリ:クロセンブリかも知れない。いずれにしても、この時期草むらでよく見かける。一見真っ黒で地味な虫であるが、翅は翅脈に沿って一刀彫で柿渋を塗って仕上げてあるように凝っている。この黒い翅は薄く、透かしてみると見事な編み目模様を見せる。
 


アブラムシとアリの関係:クリオオアブラムシであろうか、アリと共生している。アリはアブラムシの分泌物をもらい代わりに用心棒となって捕食者を寄せ付けない。
 


キマエアオシャク:この枝は以前紹介したキマエアオシャクの幼虫が居たことを思い出し探してみた。居たぞ、それもかなりアブラムシに占領されているようだ。ピンチに経つアオシャクは直立し、アリが身の上を歩いてもじっと我慢でピクリともしない。

 

東谷津レポート その115

2012.4.8() 山梨 am9:30〜15:00 晴れ

 

本日はエコツアー『谷津田の水辺づくり』で東谷津ほとけどじょうの里の作業体験の日だ。特別メニューを用意し、大人7名子供7名の参加で『薪作り』丸太運び丸太カットや薪割り、『ため池の畦作り』土留め用の丸太や杭作り、『石釜ピザ作り』『刃物の手入れ』斧ナタカマなどの刃物研ぎの実習などで、参加者はそれぞれやりたいものを選んで楽しんだ。(『ため池の畦作り』は次回への持ち越しとなる。)
 


丸太カット:薪の長さにヒノキの丸太をノコギリでカット。始めはぎこちなかったがすぐになれて、力強いノコづかい。
 



薪割り:切った丸太は薪割り班にまわされる。斧の使い方や注意点を教わり、恐る恐る取りかかる。
 


皆それぞれに楽しんでいる。テピィーの向こうではピザ作りも始まったようだ。
 


トッピング:ピザ班はピザ生地をのばし、トッピングが始まった。あれやこれや好きなものをのせてゆく。
 


トッピングの終わったピザの群れが整然と窯入れを待つ。
 


窯入れ:窯の温度も適温に達し「さあ焼くぞう」。
 


焼き上がり:窯に入れてから約10分、この瞬間が何とも言えない。初回分はちょっと焼けすぎのようだ。次々と焼かれるピザは胃袋の中に片付けられる。
 


大人のピザ:この谷津で採れた椎茸をトッピングしたピザ。団塊の世代以下は食べては行けない"禁断のピザ"なのだ。
 


春を待つ:今年は春が遅く、まわりの雑木林はまだ冬枯れ色だ。

 

東谷津レポート その114

2012.4.2() 山梨 am11:00〜15:00 晴れ

 

山の木々の芽がようやく膨らみ始め、谷津のため池に差し込む陽光も力強く水の透明感がさらに増しているようだ。そんなため池を覗き込んでみた。水底に積もった落ち葉が動く、よく見ると落ち葉の切れ端がグッググッグとづれ動いている。トビケラの仲間の幼虫が落ち葉を切り裂いて上面と下面に張り合わせた素である。水温が上がるにつれて、幾重にも重なった落ち葉溜りの底の方から這い上がってきたのだ。彼らはいつもこの巣を引きずっている。目が慣れると、あちこちで動くものがいることに気づく。マツモムシ、カワニナ、カゲロウの幼虫達も泳ぎ回っている。背面泳法のマツモムシはもう雌雄でじゃれあっている。水が温んできたのだ。そろそろガマガエル(アズマヒキガエル)が産卵のために山を降りて来るだろう。
 


アカガエルのオタマジャクシ:ヤマアカガエルのオタマジャクシであろう、水温んだ浅瀬で群れている。このような塊が池のあちこちに点在している。
 



アオクサカメムシ:春の陽光に思わず飛び出して着地したところが水面に浮かぶ枯れ枝の上、枝伝いに陸地には行けそうもないどうしようかと思考中のところにオタマジャクシが様子見にきた。
 



コバントビケラの幼虫の巣:写真中央の落ち葉の上の黒っぽい楕円が巣、水底に沈んだ落ち葉を切り裂いて上下2枚を張り合わせる。この巣を背負て動きまわるのだが下側の葉を少し小さく作るので、葉と葉の間にいる幼虫は見えない。横にいる巻貝はカワニナの幼体。
 


エグリトビケラの幼虫の巣:こちらは幼虫そのものが大型なので、切り裂いた葉を3枚づつ上下に張り合わせている。手前には巣づくりのために切り裂いた落ち葉が見える。巣材を作る際にはこのように必ず葉の横から切り出す。葉の中央に穴の開いたものは見つからない。
 



カゲロウの幼虫:水中の枯れ枝や落ち葉の間をすばやく泳ぐ、腹側部にエラがあるのでカゲロウの仲間であることがわかる。よく似たカワゲラの仲間にはこのエラはない。
 


カワニナ:ホタルの幼虫の餌として有名な巻貝。この個体は体調30ミリほどで大きめ、頭をせり出して食事中のようだ。
 


スジブトハシリグモ:水辺でよく見かける。何本かの脚先を水面につけて餌待ちだが、危険を感じると水面を走って逃げる体制でもあるようだ。水底の影を見ると脚先が大きく膨らみ表面張力となっているのがよくわかる。この8本の脚先の表面張力によって沈まずに水面を走ることができるのだ。
 


テングチョウ:池の中の観察中、すぐ脇に飛んできた。鼻先が突き出ているところから天狗蝶。ルリタテハやキタテハなどの成虫越冬組のチョウとともに春先の日中によく見かける。

 

東谷津レポート その113

2012.3.22() 山梨 am10:00〜15:00 うす曇り

 

寒い日が続くが今日は天気予報では4月の陽気になるらしい。先日の暖かい日谷津ではキタテハ、テングチョウなどの成虫越冬の蝶達や、山頂直下の雨乞い池ではトウキョウサンショウウオの卵塊がみられたとのこと。ではと谷津に乗りだした。が、気温は期待したようには上がらず、陽もささない。チョウ達の姿は見えず、サンショウウオやヒキガエルの産卵もまだのようだ。

『わたしはここよ!!』
 先日久し振りに虫友の1人に谷津で遭った。水没していたウスタビガの卵を持ち帰ると、なんと蘇生して孵化したので、山に返そうと持ってきたとのこと。手にしたケースの中の落ち葉には小さな幼虫が数匹動き回っていた。幼虫をコナラの枝先に移しながら「キマエアオシャクの幼虫見ますか?」「えっ、みみ見つけたの!!」案内されたのは何度も探したコナラのひこばえ株であった。枝の先端のわずかに膨らんだ冬芽の塊に違和感があった。もっとよい写真をとまた行ってみた。株から無数に生えたひこばえ「う〜ん、どの枝だっけ」背をそらし顎を引いて下目使い、"老眼の構え"で探していると『わたしわここよ、よく探してね』小鳥達に見つからないように新芽の間から声がしたしたような・・・。
 

ウグイスカグラ:里山の低木で一番早く花をつける。この花が咲けば春近しだ。
 


これがウグイスカグラの花のアップ。鴬神楽と書く名の由来は鶯が神楽を踊っているようだとのことだが、他に諸説あるそうだ。6月には赤く熟した甘い実を付けるが、たいていは鳥が先に食べてしまい人の口には入らない。
 


シイタケ:ほとけどじょうの里の小屋裏のほだ木。昨年の秋に続きこの春もたくさん生えてきたが、気温が上がらないせいか成長が遅い。
 


キマエアオシャクの幼虫-1:コナラの枝先の冬芽の間で春を待つ。さてどこにいるか分かるかな。
 


キマエアオシャクの幼虫-2:日を改めてきてみると少し移動して新芽になりきっていた。枝先の新芽の間に一対の角がある頭部が見える。
 


キマエアオシャクの幼虫-3:少しアングルを変えて全身を見てみよう。実はお尻にも角があり直立するとまるで冬枯れの小枝のようだ。コナラの芽が成長し緑色に色付くと、この幼虫も脱皮して変色し捕食者から身を守るのだそうだ。

 

東谷津レポート その112

2012.3.11() 山梨 am10:00〜15:00 曇りときどき晴れ

 

てんたの会は、ふるさと散歩『早春の植物観察』との重複イベントのため、ほとけどじょうの里の作業は小人数、石窯も初体験組のデビューとなった。女性陣は昨日からパン生地をこねて持参して来ている。もし窯の火入れを失敗でもしたら(怖っ)。でも心配無用、いつもの作業時にちらっちらっと見ていた(技は見て盗めなのだ)手順を思い出し、まず上段の焼き室に火を入れ充分に暖める。頃合いを見て下段に火を移す。焼き室の温度が首尾よく上がり、焼き頃になったら火の勢いを落とす。後は焼き室の温度如何で薪を増減する。だったよね確か。こうして程よくコントロールされた窯に入れられたパン生地は幸せそのもの、見事なパンに変身して出て来た。女性陣は大満足、新窯焚き職人誕生。

『トラツグミ』
 3月7日ホタルの里、トラツグミがいるとのこと。「どこどこにいる?」双眼鏡で指差された方角を覗いてみたがわからない。「えー、どこにいるの」『ポールの右横1メーター』「いいいたあ!!」積もった落葉に同化して餌をついばんでいる。この鳥は独特なやり方で餌を捕らえる。左右の脚を地面に付けたまま交互に踏ん張り、スローテンポのフラダンスを踊るように腰を動かして地面を振動させ、落葉の下にいるミミズなどの昆虫を足下に出てこさせる。それをちょいちょいつまみ食いするだけ、ばたつくことも無く効率的で静かな食事風景なのだ。
 

シナモンロール、ココアパン、『もうたべていいの〜』。このほか雑穀入りやチーズ入りといろとりどりの天然酵母のパンが焼けた。
 


アカガエル:今年3回目の合戦で疲れ果てたのか、戦いから一人抜け出し水中の棒に体を預け一休み。
 


ヒヨドリ:センダンの実を食べに来ていた。『ヒ〜ヨ、ヒイ〜ヨ』とあの甲高い鳴き声で仲間に知らせているようだ。この実に口を付けるのは他に餌になくなった冬の終わり。(写真には2羽写っている)
 


モズ:静まりかえった谷津に着く、何やら話し声、ハイカーかなと周りを見ても誰もいない。話し声はまだ続く、その方角の枝先にモズがいた。『むにゃむにゃ・・・』尾をゆっくりと動かしながら小さな声でつぶやいて吟遊詩人でも気取っているのか。暫くして飛び去ると話し声も消えていた。
 


ダイサギ:先日の雨で増水した流水の中で餌を探しているのだが、まだ水は冷たく小魚は少ないのか捕らえるところは見られなかった。
 


トラツグミ:落葉の中に見事に溶け込んでいる。一面の落葉の中に居ると慣れていないとまづ見付けられないだろう、ましてや、このような背面からは。餌取りダンスをしながらゆっくりと移動していた。

 

東谷津レポート その111

2012.2.26() 山梨 am10:00〜14:30 曇り

 

毎月第二、四日曜日は東谷津ほとけどじょうの里の作業の日、週間天気予報では前日の予報まで晴れマーク、翌日の準備でパン生地をこねる。明けてみると朝の予報ではなんとクラウドマークに変わっていた。『う〜ん曇りか』。谷津に着くと皆それぞれ作業を開始、石窯の温度も程よく上がり、パンが焼き上がる。

『アカガエルの産卵-2』
2月24日、モニ1000カエル類調査でアカガエルの卵塊調査に独り谷津に入る。峠を越えホタルの里に向かう。雑木林を抜けると谷津が何やら騒がし
い、小鳥の群が鳴き競ってでも入るようだ。『おおお来てるな!!』待ちわびていたのでアカガエルの産卵前の合戦とすぐわかる。さあて、これからが彼等との真剣勝負、気付かれないよう近付けるかだ。彼等から見えないだろうと思うとろまで頭を下げて近付く、彼等は泣き止まない、うまく近付けた。そっと、細心の注意をはらって頭を上げるそっと目線まで、そして景色に成り切った。『やったあ、さあ面白いぞ』水面は波立ち目の前で合戦が繰り広げられている。っとその時、「チチ〜ン!!」と近くで餌をついばんでいたセキレイが甲高くないて飛び立った。カエル達の声がぴたりと止まり、水面も鏡のようになめらかに近くの景色をを映している。上空で何か気配、ノスリが飛んで来て見通しのよいコナラの枝に止った。彼等は動かない、ノスリが飛び去るまでこのままいつまでも。とぼとぼと退散した。
 

焼き立てパン。丸いのがアンパンと同時に焼き上がった食パン、どちらも天然酵母なのだそうだ。
 


アカガエルの合戦:一斉に鳴きながら水面を波立たせ合戦中。アカガエルの頭がいくつも見える。
 


ノスリ:産卵のために平地に下りて来たアカガエルを狙っているのだろう。見晴しのいいコナラの枝に止ってきょろきょろと見渡している。(体長50センチほどの猛禽類)
 


シロフフユエダシャク(雄):谷津への道中の教会の看板にへばりついていた。これがコナラなどの幹に止っていたらまず見つけられないだろう。開張12ミ
リほどの小さな羽に見事な模様をみせる。(2/21撮影)