東谷津レポート その110

2012.2.12() 山梨 am9:30〜14:30 晴れ

 

今日は月例の『ふるさと散歩』でバードウォッチングだ。今年は冬の渡り鳥の飛来が遅いとのこと、ほとんど見られないかもしれないとの不安の中で出発した。東谷津〜ホタルの里〜見返り坂〜雨乞い池〜本郷入りに下り終点に戻る天多回廊の西の端をカットするコースを辿った。途中、エナガが数羽近くの梢でしばしの間留まってくれてしっかりと見られ、ルリビタキの雄が鮮やかなコバルトブルーをサービスよく見せてくれた。まずまずの一日であったのではないかな。

『アカガエルの産卵』
2月9日東谷津ほとけどじょうの里のため池でヤマアカガエルの卵塊を確認した。アカガエルの産卵も例年より少し遅いようだ。雨を待っていたのだろう
(例年2月に入り雨が降ると産卵される、雨が産卵条件の一つのようだ)。山を1つ越えたホタルの里ではまだ見られない、こちらはまだ全ての条件が整っていないのだろう。今週火曜水曜が雨との予報なので、木曜か金曜には卵塊が確認出来るであろう。谷津にたくさんの鳥が鳴いているような美声が響き渡っていたら、彼等に気付かれないように頭を低くして、抜き足差し足音をたてないようにして近付いてみよう、運が良ければ水面をかき乱して大乱戦が見られるかもしれない。もし彼等がぴたっと泣き止んだら、気付かれた証拠、彼等から見えない所まで撤退だ。10分も待てばまた鳴き出す。そっと近ずくを繰り返す。彼等から見える所にいると、じっとしていても彼等は微たりとも動かない1時間待っても動かないので注意しよう。
 

モニ1000里地調査報告会:県(自然環境課)地主(西武鉄道)日本自然保護協会(近隣の自然観察指導員)の方々をに集まって頂き、植生、蝶、カヤネズ
ミ、ホタル、カエルの調査結果報告を行った。ゲストとして『飯能・西武の森 案内看板設置のためのガイドライン』なる発表も行われた。
 


バードウォッチング:皆の目線(双眼鏡)の先はルリビタキの雄。自慢のコバルトブルーの姿態を惜し気もなく見せてくれた。
 


キセキレイ:ホタルの里の田んぼを独り占めにして腰を振り振りモンローウォークで餌をついばんでいた。
 


ダイサギ:谷津への行き来でいつも通っているいつもの風景。その中に溶け込んでいて気にもしなかった鳥。そうだまだ写真を撮っていないぞ『カッシャ』。夏には嘴が黒っぽく変色し、胸や背中に長い飾り羽が現れるのだそうだが、それにも気付いていなかった。
 


アカガエルの卵塊群:東谷津ほとけどじょうの里のため池に産卵されていた。池の一部に固まって産卵(目算で45個の塊を確認)されていた。これはヤマアカガエルのもの、数日後にはニホンアカガエルも産卵に来るだろう。この谷津には両アカガエルが共生している。

 

東谷津レポート その109

2012.1.28() 山梨 10:00〜14:30 晴れ

 

皆様
御岳入りのブッシュが刈り払われたと聞いたので行ってきました。神社の鳥居付近がかなり見通しがよくなっていました。

久し振りに天多回廊を歩いてみることにした。東谷津から山道を西に向け歩き始める。晩秋、落葉をガサゴソと蹴散らして歩く心地よさとは大きく違い、早朝に凍った路面は陽を受けてぬかろんで滑り易く、靴底に付着した泥を切株でそぎ落としながら進み、回廊の西の端を大きく迂回して御岳入りに出る。視界が大きく開け、以前は形跡も見られなかった谷津の棚田の昔日の姿があった。地元の人たちが手を入れ、道の脇まで覆っていた笹などを刈払ったのだそうだ。

『イラガの繭のコレクション』
真冬、雑木林では多くの木々が葉をすべて落として丸坊主となり梢まで見せてくれる。柿の木とハンノキの枝先にイラガの繭を探した。イラガはふたつとない紋様を繭に描く芸術家だ。
 

イラガの繭1:通常イラガの幼虫は蛹化するための繭を作るのに枝の股を上手く利用するのだが、この幼虫は不安定な場所を選んだようだ。(長さ12ミリほ)
 


イラガ繭-2:これが定位置、枝の股に固定いている。
 


イラガ繭-3:こちらは上下に、こんなに近くに作って目立ったのか、寄生蜂(イラガセイボウ)に寄生されているようだ。繭は非常に固く指で押したくらい
ではビクともしないが、白い紋様の先の黒点は寄生者が中の幼虫に卵を産みつけるために開けた穴かもしれない。
 


クワゴの繭:南回廊は単調な車道が続く、そんな車道沿いの桑畑で風に揺れていた。和紙のように見えているのは外層でこの中に繭があり蛹はハンモックの中で心地よく過ごせる。が、クワゴは卵で越冬するのでこの繭は空家のはずだ。
 


東谷津ほとけどじょうの里の周りの雑木林もすっかり葉を落とし遠くまで見渡せるようになった。
 


ぬかろむ山道、滑らないよう気をつけて進む。靴底に泥がついて重くなる。
 


御岳入り:道の脇まで覆っていた笹などが刈り払われ、棚田の畔が現れた。写真中央の針葉樹の下に御岳八幡神社の鳥居がある。

 

東谷津レポート その108

2012.1.11() 山梨 am8:30〜11:30 晴れ

 

皆様 平成24年度の初版です。今年も続けたいと思いますので宜しくお願いいたします。

本年度初の谷津訪問は、モニ1000植物調査への同行となった。植物調査は、花、つぼみ、果実などを対象に行っているが、この季節彩りのあるものはほとんど見付からない。冬枯れ色一色の谷津で、途中出会ったバードウォッチャーのスコープに映し出されたルリビタキのコバルトブルーがやけに鮮やかであった。

『二匹目のドジョウ未だ現れず』
昨年12月18日からずっと観察を続けているフユシャクがいる。ちょうど一年前偶然遭遇したクロテンフユシャクの交尾(レポート-92参照)の感動をもう一度と思ってのことだ。待ち続けて今日で24日、口を持たず何も食べないというからもう限界であろう。通常夜行動(交尾)するので昼間見ようとするのはムシのいい話しってことかな、もう覗かないことにしよう。チャバネフユエダシャクの雌である。
 

チャバネフユエダシャク雌:このけったいな虫はチャバネフユエダシャクの雌である。翅を持たず飛ぶことができない、フェロモンを出して雄を待つ。真冬に現れる夜行性の蛾の仲間。
 


チャバネフユエダシャクの雄:上の写真の近くにいた。これが雄、翅を持ち飛翔しながら雌の出すフェロモンをたよりに探し出して交尾するのだそうだ。
 


チャバネフユエダシャクの幼虫:幼虫は普通のシャクトリムシ型のイモムシで夏季にコナラなどの葉を食べて成長する。(5/11撮影)
 


ムラサキシジミ:昼近くなって暖かくなった陽光にさそわれて越冬場所から思わず飛び出したのだろう、地面で暖を取る(吸水かも)。一瞬翅を開いて鮮やかなコバルトブルーを見せてくれたのだが、その後は閉じたままで見せてはくれなかった。
 


トキリマメ:冬枯れ色の草原でひときわ目立つ。類似種にタンキリマメがあるが、こちらはトキリマメのようだ。

 

東谷津レポート その107

2011.12.11() 山梨 am9:00〜pm3:30 晴れ

 

皆様、12/11の『クリスマスリースつくりエコツアー』参加者総数33名で終了しました。皆、自分の才能に惚れ直したようです。
ドングリからのシギゾウムシの幼虫の脱出レポートの特集です。
 

今日は私の担当する恒例のエコツアー「里山のリースつくり」だ。午前中山を散策し、木の実などの山の恵みを少しいただいて、午後世界にひとつだけのリースを自分でつくる。リース作りが始まると皆真剣そのもの、無言で創作する。初めは不安そうだが2時間後は、皆自分の才能に悦に入っている。

『ドングリからの大脱出』
 一度見てみたいと思っていた光景が今目の前にある。リース作りの材料にと拾っておいたシラカシのドングリを整理しているとそのひとつから今正に脱出しようとしている幼虫が中にいたのを撮んだ。シギゾウムシの終齢幼虫のねぐら替えの瞬間である。親により樹上で産卵されたドングリの中で子葉を食べて育ち、ドングリの中で地上に落ち、成虫になる準備のために地中に潜り込む。その移行の瞬間が手の中にある。その一部始終を見させて頂いた。 
 


クリスマスリースつくり:皆真剣そのもの。リース台はクズの蔓、オーナメントは各種のドングリ、マツボックリ、花柄等で檜の葉やピラカンサの実などで彩りを添える。皆里山からの恵みである。
 


コナラシギゾウムシの脱出:終齢幼虫がノミのような大顎で堅い果皮をかじって脱出口を開けた。すでに脱出した別のドングリを見ると直径1ミリほどの極小さな穴しかないのだが・・・。
 


外の確認:自分の堅い頭と同じサイズの穴があくと顔を出して外を伺っているようだ。この時点では危険を感じるとスッと引っ込むことができるのだ。
 


脱出開始:安全が確認されると脱出を開始する。が、穴は自分の頭のサイズしか広げてはいない、栄養満点の子葉を食べてぶよぶよに太った胴体がすぐにひっっかり始める。こうなるともう戻れない、捕食者が来る前に抜け出さなくてはと焦る。
 


この幼虫はウジ虫型で、脚はないし剛毛も生えていない、力むものは何もないのだ。体をそり返して伸びて後部の体液を前に移動させると今度は縮んで外側の肉を脱出口に引っ掛けて力を入れ無理矢理引き抜く。この動作を一節一節繰り返す。『この左脇腹の脂肪が、うううっ』
 


『ちょおと伸びてみよかっ』
 


『ま前にかがんでみよか、お尻が出るかも。うううっっ』
 


脱出成功:『うううっわああ』最後の力みを加えるとスポッと抜けて転げ落ちた。『やったあ、ぬけたあ』脱出まで13分弱の大仕事。
 


新天地を求めて:地中へ潜り込み易そうな場所を求めて歩き回る。
 


『ここがよさそうだ』
 


地中に消えた。おそらくドングリの果皮に開けた大顎を使っての作業であろう、ああっという間に潜り込んで行った。

 

東谷津レポート その106

2011.11.27() 山梨 am11:00〜pm3:30 晴れ

 

皆様、東谷津、ほたるの里両谷津の今年の作業も終わりました。作業は来年1月までお預けです。

今日で今年の谷津の作業は終了だ。山をひとつ越えたほたるの里の里山再生も先週末の『里山復活祭』で終了、両谷津とも12月は静寂に包まれる。東谷津ほとけどじょうの里の最終日は石窯でのパンつくりと来年に向けての薪づくり、薪は有ればあるほどよく、数年前に切り倒して表面が腐りだしたコナラの大木を山から引き出して斧で割る。いくつか割ると腐った隙間からコクワガタが出てきた。越冬のために潜り込んでいたのだ、彼女は『なんですか、うるさいねえ邪魔しないでよ』とでも言っているいるようにちらっとこちらを見てもそもそと動きだし、やがて気に入った場所を見つけて姿を消した。来春の目覚めまでは薪ごと燃やされないようにそっと隠しておいた。
 

里山復活祭:約70名の参加で2時間ほどの作業の後、釜炊きのムカゴご飯とトン汁、何故かデキシーランドジャズの生演奏で1年間の労をねぎらった。
 


ウスタビガ:石窯の脇で死んでいた。羽化して間もないのだろうか翅には傷ひとつない美しい姿体。
 


ウスタビガの顔:これがウスタビガの雌の顔だ。触角が細いので雌とわかる。雄は櫛状で大きく立派な触角を持つ。
 


コクワガタの雌:やっと見つけた居心地のよい腐食したコナラの中で眠っていたのを起こされて不機嫌そうに別の場所をみつけにもそもそと動きだす。
 


ルリタテハの寄生蜂の繭:ルリタテハの羽化間もない神秘的な姿体を前回レポートしたが、こちらは幼虫のうちに寄生されて死を迎えたものだ。寄生したのはタテハサムライコマユバチ(成虫の体長3ミリほど)であろうと思われる。この寄生蜂は、幼虫期をルリタテハの幼虫の体内で過ごし、蛹化寸前い宿主から脱出、数十匹が固まってひとつの繭をつくるのだそうだ。その時点ではルリタテハの幼虫は生きておりまるで繭を守っているように近くにいて、やがて自分は蛹となることなく死んでしまう。(白い塊が繭で、トゲトゲの黒いのがルリタテハの幼虫の死骸)

 

東谷津レポート その105

2011.11.13() 山梨 am9:30〜pm3:30 晴れ

 

皆様、谷津で咲く最後の花「リンドウ」が、今年も東谷津で花を咲かせています。一昨年冬に仕込んだ椎茸が凄い勢いで出ています。ナメタケも出始めましたが、放射線量の心配も有り(干し椎茸として線量測定に出す予定有り)指をくわえて見ております。

谷津を取り巻く雑木林も少しづつ色付いて来た。東谷津ほとけどじょうの里の雑木の斜面には今年もリンドウが花を咲かせ始め、晩秋であることを気付かせてくれる。(リンドウはこの辺りの谷津では一番遅く花をつける)。騒いでいた虫達も息をひそめ、何処へ行ってしまったのかと思わせるが、色付き始めた草原にしゃがみ込んで虫の眼目線で葉裏などをみればまだまだ見ることが出来る。 

『待ったぞ26日間、そして逃してしまった』
前回のレポート104でルリタテハの幼虫をレポートし、その姿を前蛹ではなく得意のポーズとしたが間違いであった。翌々日に見てみると全く同じ場所で蛹になっていたのだ。その蛹を写真に撮りながら不用意に触れてしまったら、蛹が(あの鋼鉄の鎧をつけたような蛹がだ)左右に大きく体をくねくねと自ら動かすではないか、『触るな!!』っていうことだね、『うううわっ』思わず手を引っ込めた。自然状態で羽化の経過を見るチャンスと度々訪れる。2週間経ち、20日が過ぎたがまだ羽化の気配はない(羽化の気配など知らない、様子を見て勝手にまだだななんて独り言を言っているだけなののだが)。今日は、谷津の作業の日、作業をそっと抜け出し見に行った。遅かった。羽化を終えた成虫が蛹の抜殻の上で翅が伸びるのをじっと待っていた。『遅かったな』とでも言ったような気がした、そして音もなく飛び去った。
 

ルリタテハの蛹:通常蛹は自分の食べた食草を離れて蛹になるが、この個体は、大胆にも自分が食いつくした食草で蛹になって目立っている。蛹になって間もない頃は、触れるとこの姿で左右に体を動かす。
 


羽化間もないルリタテハ:羽化後蛹殻の上で翅が伸びるのをじっと待つ。間もなくふっと音もなく飛び去った。(成る程、ホトトギスの果実殻は黒く変色している。最初は目立っていた蛹も同色の擬態になっていたのだ)
 


コカマキリ:この時期になるとよく見るコカマキリ、ハラビロカマキリやオオカマキリより小型だが、カマには内側に特有のペイントされており、これを見せて威嚇する。カマはインディアンのトマホークのようだ。
 


ツユムシの雌:『右前脚はここで、左後脚はあっちっで、触角はまっすぐにして背中の筋は茎のようにしてっとこれで見付からんだろう』なんて聞こえてきそうだ。葉脈葉柄になり切って動かない。(雄は背筋が茶褐色で太い)
 


ヒメクチナガガガンボ:コウヤボウキの花に数匹が群れて吸蜜している姿をよく見るが、花も終わって葉脈から汁を吸っているのだろうか、長い口吻を突き刺しているようだ。体調10ミリほどの小さなガガンボの仲間。
 


アブラムシ有翅型:秋になるとアブラムシの仲間は翅を持った雄が現れる。ノダケの茎でコロニーをみつけ、よく探してみると居た大きな翅を持った雄だ。彼等は秋だけ交尾をして卵を生み卵で越冬、春生まれる子供達は皆雌で、単偽生殖で卵ではなく自分のクローン胎児を次々に生みコロニーをつくる。
 


これはハッカハムシ、木道の上で陽を受けて銅色の金属光沢を輝かせていた。背中の規則正しく並んだ黒斑紋で同種と判った。ハッカ類を食草にしているとのことだが、この辺りには・・・そうヤマハッカが数株あったのを思い出した。
 


ナメコ:これは野生ではない。一昨年の春先に菌を植えてけたもので、今年になって初めて出て来たものだ。この美しい姿にも放射能取り込まれていると思うとやりきれない。同時期に植えた椎茸も大量に生えて来たが、指をくわえて見ているだけだ。

 

東谷津レポート その104

2011.10.16() 山梨 am9:30〜pm4:00 晴れ

 

今日は先日刈り取りを終え、ケサガケしてあった稲の脱穀である。昨日の雨で「出来るのかいな」と誰もが思いながら田んぼに到着。ケサガケにはブルーシートが掛けられ雨対策がうたれていて今日しかないと無言で訴えている。道具は皆借り物で今日やるしか無いのだ。休耕部にブルーシートを敷き、"ガーコンガーコン"を2台(年代物の足踏み脱穀機の通称で、動かした時の起動音からそう呼ばれていた)とトウミ(脱穀した籾と藁クズなどのゴミを風力で分別する機械)を設置、フル回転で動き出す。予定時間を少しオーバーして無事終了。今年の収穫は81キロ(昨年45キロ)満足の出来である。

10月に入ると谷津の行事がめじろ押し、『谷津田の水辺つくりエコツアー』『モニ1000調査』『月例作業』、この間に個人的な虫詣でと谷津に入り浸りの谷津三昧だ。

『ツリフネソウ』
東谷津の象徴花のひとつとしてもよいだろう。「釣舟草」と書き、つるして使う釣花生けのなかの舟形をした花器にたとえたものとのこと。独特の形をしている花には仕掛けがあり、蜜を花の一番奥に溜めておき、ハナバチなどに無理矢理潜り込ませて密にありつかせ、花粉を背中にこすりつけさせる。花粉をつけたハナバチは別の花に潜り込む、この時受粉するのだそうだ。蜜をやるから受粉を手伝えってことだね。ところが、クマバチは体が大き過ぎて花には潜れない、目の前の密にありつけないクマバチは地団駄踏んで妬けになり、横から大顎で穴をあけて飲み逃げするらしい。この花は果実にもうひとつ面白い仕掛けを持っていて、熟すとちょっとした刺激ではじけて種を飛ばす。そう、園芸種のホウセンカの仲間だ。
 


10/9「谷津田水辺つくりエコツアー」午前中の力仕事で腹ぺこ。皆、気に入った場所での昼食、石窯で焼き立てのピザを喰らう。旨いのだこれが、で若い人たちは窯の側に陣取る。
 


10/16「脱穀」2台の"ガーコンガーコン"にペダルの踏み手役と稲束役でフル稼動。
 


これが「トウミ」だ。最上部の口から脱穀したての籾を少しずつ入れる。丸い部分が風車、裏側のハンドルを手回しすると、風車の風力で横の噴き出し穴からワラなどのゴミが噴き出され、最下段の口から籾が出てくる。
 


イカリモンガ:一見チョウのようだがガの仲間だ。昼間活動し、ノダケの花の蜜を吸いに来ていた。名は翅のオレンジ色の模様が錨に見えるところから来ているのだそうだが・・・。
 


メスグロヒョウモン:これは雌、ヒョウモンとは言え豹紋柄は羽裏にもないが、雄は雌とは全く違い豹紋柄そのものである。
 


アサギマダラ:「アサギマダラだ!!」モニ1000の植物調査中に現れた。草原を大きく旋回し、目の前のアザミに止ってこのポーズ。
 


ルリタテハの幼虫:食草のヤマジノホトトギスの葉を食べつくし、茎に尾脚だけで振る下がっている。蛹に変態する前の前蛹かなと思ったがそうではなくお得意の姿らしい。
 


コガネオオハリバエ:ノダケの花の蜜を無心で吸っていた大型(体長20ミリほど)のハエ。体中が黄金色の毛に覆われている姿はマルハナバチの仲間と間違えてしまいそうだが、よく見ると剛毛が生えているので本種と分かる。
 


ツリフネソウ:奇妙な形をした花だ。東谷津で今年も存在感を示している。

 

東谷津レポート その103

2011.10.1() 山梨 am9:30〜pm4:00 晴れ

 

谷津の田んぼは稲刈りを終えた。ケサガケに赤とんぼがひなたぼっこ、心地よさに眠ってしまったのか触っても動かない。『キイッーキイッー、トン』とモズが畑の柿の木と雑木林のふちを飛び廻って縄張を主張し始めた。谷津の秋である。

『大型のイモムシ』
この時期、雑木林のふちでは鱗翅目(蝶や蛾)の幼虫の大きなイモムシが目立つ。見つけた時はゾッとするのだが、彼等の食草を見つけると思わず探してしまう。今日も以前見たという場所でアケビコノハのユニークな姿を探していた。アズマネザサの葉の付け根が黒ずんで不自然な塊が目に入り近ずくと「いったあ」、笹に巻き付いたアケビの葉をたらふく食って休んでいたのだ。じっとしていて被写体になってくれた。今日はこの後2種類の大型イモムシと出会い、ひと呼吸おいて恐ごわ近付いてみた。近くでサツマノミダマシが一部始終を見ていたようだ。
 

アケビコノハ(蛾)の幼虫:腹部の一部分を持ち上げ、頭を下げて尾端をひょいと上げて特異のポーズはまるでダッコちゃん(昭和30年代に大流行したビニール製のだ抱きつき人形)。何故にこんな姿勢をとるのか、それは、腹部の眼状紋を目立たせて保身するためなのだそうだ。その眼状紋は・・・


こちらが眼状紋だ。なるほどこんな大きな目玉で睨まれると捕食者は思わずひるんでしまうのだろう。それにしてもこいつは緊張感が何も無い、尾端を動かしたと思ったら糞(尾端の茶色の塊)をしてしまった。私が手を出せないと知ってのことか。
 


シモフリスズメ(蛾)の幼虫:クサギの幼木が葉の柄だけをのこして丸坊主になっていた。わずかに残った葉を一心に食らっていた本種、長い冬を何も食べれない蛹で乗り越えるためなのだろう。葉をもむと猛烈に嫌な匂いのするクサギを食べるとは。
 


クロテンケンモンスズメ(蛾)の幼虫:イボタノキの下に無数の大きな糞が転がっていた。イボタガの幼虫かと思って探してみた。食痕の近くの葉の茂みに、同じような体色の本種が紛れ込んでいた。(尾角か見えないので決定的ではないがクロテンケンモンスズメの幼虫と思われる)
 


サツマノミダマシ:体調1センチほどもある大きな個体だ。いつも思うのだがこの種の体形のクモは脚が何処から生えているのだろうかいなと・・・。
 


脇から見てみよう。なるほど、脚は一部を大きな胴体の脇に垂直に立てていたのだ。

 

東谷津レポート その102

2011.9.14() 山梨 am9:30〜pm2:00 晴れ

 

「さて木陰に入ろうかな」9月に入り一時は秋らしくなったのにまた真夏日がぶり返して来た。陽光は遠慮なくジリジリと肌に差込んでくるが、草地で虫や秋の草花が見付かると思わず立ち止り、しゃがみ込んで見入ってしまう。「熱虫症」の宿命なのだ、長袖のシャツは欠かせない必需品だ。だが、時折吹く風が麦わら帽子の飾り編みを通過する風は、ほてった頭を冷やしてくれて、秋はそこまで来ていることを感じる。熱虫症が熱中症になったら洒落にならない。草原の向こうの雑木の林に入って涼もうか。

『アオマツムシ』
遠く平安の世から詩歌に詠まれ、永遠に続く日本の秋の宵の情緒"満月とススキと虫の声"、我家の庭も秋の虫達が・・・ならよいのですが、ここ数年来、鈴を束にして耳元で否応無しに振り回されたようにけたたましく一斉に泣く大陸の虫(アオマツムシ)が、繊細な日本の秋の情緒をはぎ取ってしまっています。でも彼等もよその国に来ていることを知っているのか、8時半頃になるとぴたりと泣き止んで、本家の虫達に席を譲るようです。中秋の名月も上方が欠けていっそうと美しい月の夜、我家の庭では"チンチロリン""り〜んり〜ん"と秋の虫達が鳴き出して,秋の夜を演出しています。
 

これがアオマツムシ。夕方陽が沈む頃から一斉に鳴き出す中国大陸からの外来種。日本の在来種の虫達の鳴き声がかき消されてしまう。街路樹や生垣で暮らす樹上生活だ。この個体は尾の部分が奇形、脱皮に失敗したようだ。
 


ヒメギス:湿った草地に棲み、昼間はめったに姿を見掛けない。この個体は何故かよく目立つ木道にいた。この配色は通常の住処(カヤなどの根本など)では保護色になっているのだろう。背中は灰色のものが多く、この個体のように緑色は少ないのだそうだ。
 


ワキグロサツマノミダマシ:このクモも黒と緑色の配色。昼は葉陰などでじっとしているが、夜間は巣網の中央に陣取っているそうだが、その姿はまだ見たことがない。
 


ジョロウグモの交尾?:まだ幼グモの体色の雌に交尾を仕掛ける雄(腹部に居る小さいクモ、雄は雌に比べてかなり小型)。雌はこの体色だとまだ生殖は不可能と思われるが、雄は無関心でじっとしている雌にそっと近付き何度もトライしていた。成虫の世界では、雄は雌に見付かると食べられてしまう。
 


オナガサナエ:竹杭のてっぺんで捕えてきたハナバチを夢中で喰らっていた。尾の先が大きく突き出ている。雄である。
 


モモスズメ(蛾)の幼虫:カマツカの葉の間に黄色く不自然に色付いている所があった。そっと葉をめくると体長8センチほどのイモムシが振る下がっていた。さらに邪魔な葉を恐る恐るはぐって近付くと、体全体にざらざらとした顆粒で覆われている。とても触ってみる気にはなれなかった。緑色のものが多いのだが、この個体は黄褐色型。
 


巨大ミミズ:山道に出てきていたこのミミズは体長が40センチほど(大げさではないぞ)もある巨大なものだ。四国、九州、中国地方にはシーボルトミミズというコバルトブルーの大きなミミズがいるとのこと。照りつける陽光にひからびて瀕死の状態、急ぎ湿地に戻してやった。
 


キアシナガバチ:作業小屋の天井の一画に群れていた。子育てを終えて冬ごもりの準備をしている雌であろうか。アシナガバチは刺されると非常に痛い、気付かれないようそっと近付いてみた。
 


ツルリンドウ:杉林の林床で咲き始めた。花期が長いのでしばらく見られるだろう。晩秋には紅い実を付ける。

 

東谷津レポート その101

2011.8.27() 山梨 am8:30〜pm1:00 晴れ 晴れ後曇り

 

猛烈に暑かった前半、ゲリラ豪雨を各地に降らせた中後半と何か変な天候が続いた8月も終わろうとしている。不純な天候に敬遠していた谷津に久し振りに訪れた。草地には、ワレモコウやヘクソカズラ、各種の萩の花が咲き始め、山道にはハイイロチョッキリが産卵したドングリの小枝を落とし始め、秋の気配を感じる。虫達も秋の役者が遠慮がちに姿を見せ始めていた。

『ハネナガウンカの成る木』
虫友から情報が入った。「東谷津にハネナガウンカの成る木」があるそうな。メールで案内された目標の"その木"にそっと近ずくと、いるいる葉裏に何匹もが長い翅を広げ成る程正に"成っている"のが見えた。ハネナガの名の通り、胴体に比べて翅が極端に長くアンバランスな姿体なのだ。長い翅は種類によって形が異なり、さらに様々な模様がデザインされたいる。その木はガマズミ、図鑑でしか見たことのない「シリアカハネナガウンカ」と「アヤヘリハネナガウンカ」が成っていた。感激!! 
 

アヤヘリハネナガウンカ:透通った長い翅が美しいく思わず見入ってしまった。
 


シリアカハネナガウンカ:こちらも長い翅を持つ。名を示す赤い尻を撮りたくて何枚かの葉裏を探すと、開いた穴から光が差込んで尻を照らしていた個体が見付かった。(翅の模様は前後が逆のアングルとなってしまった)
 


トリノフンダマシ:奇妙な形だがクモである。鳥の糞に擬態しているのだそうだ。このクモは夕方に巣網を張り朝方に巣網をたたんでしまい、昼はカヤなどの葉裏で脚を縮めて動かなくなる。確かに色合いやねっとりした質感は鳥の糞に見えるが、葉裏にいるのに擬態が必要なのだろうか。
 


オオトリノフンダマシ:こちらも夜の巣網をたたんでカヤの葉裏でお昼寝だ。この色合いで鳥の糞に擬態のつもりなのかな。そっと触れても動かないところをみると、その気なのだろう。
 


アズチグモ:アキノタムラソウの花の陰で待ち伏せし、見事に獲物を捕えた。自分の体の数倍もある大物だ。こんな大物には簡単に振り飛ばされてしまいそうだが、獲物はクモの毒牙に一瞬で麻酔をかけられたようで、失禁して尻から体液が出ている。
 


ハラビロカマキリの若齢幼虫:ノダケのてっぺんで獲物を待っていた。近付くと、生意気にも威嚇のポーズをとる。尻を大きく持ち上げ、カマを構える。
 


カビ菌に侵されたカミキリムシ:湿った林床で見つけた。枯枝を大顎でくわえてもだえ死んだのだろうか、無念さが伝わってくる。
 


キマダラセセリ:残り少なくなってきたアキノタムラソウの蜜を吸っていたいかにも夏色のこの蝶も秋の気配に寂しそうに見えた。