東谷津レポート その100

2011.7.24() 山梨 am9:30〜pm3:00 晴れ後曇り

 

のろのろと、大雨を降らせながら天気予報画面を這っていた台風6号も、ようやく画面から消えそうだ。そして、今日はタイミングよく谷津の作業日だ。台風がもたらす大雨は、毎回、水路を濁流と化し、ため池に大量の土砂を運び込む。この土砂を素早く取り除かないと、池の生物が全滅してしまう。谷津に着いて見回ると、幸いにも池の土砂は少ない、石を積み上げた水路のダムが決壊し、濁流を池に流し込まず水路に逃がす形となっていたのだ。偶然とは言え、ダムの欠壊が幸いしたのだ。再度、石を積み上げダムを造った。帰路、雑木林の居酒屋に寄ってみた。ダム造りへの訪問者と居酒屋に来ていた仲間を紹介しよう。

この日、1つ山を越えたホタルの里の田んぼでは、猪や鹿の食害を防ぐために、止む無く電柵が張られた。

 


ハグロトンボ(雄):メタリックなボディーのこのトンボ、4枚の翅の動きが数えられそうにゆっくりと舞う(飛ぶ)。他のトンボのように素早く飛べないし、ホバリングもできない、ふわふわと舞う。
 


コオニヤンマであろうか、池の脇のノハナショウブの支柱のてっぺんで、目をぎょろつかせて縄張りを見張っていた。シオカラトンボなどが近ずくとさっと飛び立ち追い払ってはまた見張りを続ける。
 


カラスアゲハ:美しい翅を小刻みに動かしながら、湿った土の上に止まっていた。水を飲に来たのだろう。飲み終わると俊敏に飛び去った。
 


ヒカゲチョウ:クヌギの居酒屋で1っぱいひっかけようと寄り込むと、オオスズメバチが追い立てる、さっと逃げては別の場所、また追い立てられを繰り返す。少しは樹液にありつけただろうか。
 


こちらはクロヒカゲ、ヒカゲチョウとオオスズメバチのやりとりをしり目に、ちょっと離れた場所で樹液にありつく。それにしてもヒカゲチョウ(上の写真)とそっくり、見分けがつくかな。
 


ゴマダラチョウ:こちらは同じ居酒屋に来ていた大型の蝶(前翅長40ミリほど)、オオスズメバチが近ずくと負けじと翅を広げて威嚇する。
 


ヤマユリ:天覧山周辺では、ここ数年見られなかった。猪に球根を食べられたのだと言われている。この株は1つの花しか付けていないので、今年が初めて花を咲かせたのだ。年々1つづつ花を増やして球根が大きくなり、複数の花を咲かせる頃には、食べられてしまうかもしれない。
 

 

東谷津レポート その99

2011.7.2() 山梨 am9:30〜pm2:00 曇り後晴れ

 

今日は、早朝からの(県)みどりのトラスト4号地の月度定例作業を終え、ホタルの里へ向かった。ホタルの里の萱場でのカヤネズミの営巣数確認調査だ。途中、見つけた虫の写真を撮りながら現地に到着、調査は終わっていた。作りかけで途中放棄のものが1個見付かっただけとのこと、年々数が減って来ているのが気掛かりだ。解散後、今春コマ打ちしたばかりで真新しい椎茸のほだ木置き場に寄って見た。

『ヒメバチの産卵』
椎茸のほだ木には、ウスイロトラカミキリやキイロトラカミキリなどの枯れ木好きのカミキリムシが多く集まる。今春大量のほだ木を追加したので、時期を見極めれば絶好の観察ポイントになるはずだ。そんな期待を抱いて見回ったが、見付からない、早かったのかなと諦めて帰途に、「でも必ずいるはず」名残惜しくてちょっと離れた所から後ろを振り返る。何かが飛んで来て、ほだ木の上でうろうろしてる。「やっぱりね」逃げられないよう望遠レンズで確認、なんと、カミキリではなく、シロスジクチキヒメバチであろうか、お尻を高く持ち上げ、さらにお尻を曲げて長い産卵管を突き立てて産卵を始めた。
 

アオスジアゲハの幼虫:タブノキの幼木の葉の上にいた太っちょで不格好のイモムシ。胸部の黄色い細い横帯、その両端にひかえめの頑丈紋、これでは捕食者を嚇すことはできないのでは?いやいやいざとなったら出すオレンジ色の臭覚が長いのだそうだ。(体長40ミリほど)
 


クロキシタアツバ(蛾)の幼虫:カラムシの葉上にいた。やや透けたような体色に黒い点が規則正しくならんで、なんとも美しい。(体長20ミリほど)
 


ヒメウラナミジャノメ:クズの葉上で交尾中。うまく合体しなかったようで変な体制だが、こちらにはうってつけ羽裏も見せてくれている。
 


ヒメウラナミジャノメ羽裏:これがその羽裏だ。表と裏では眼状紋の数が違っている。
 


ヒメバチの産卵-1:シロスジクチキヒメバチであろうか、椎茸のほだ木の上で産卵場所を探しているようだ。右の個体は場所を決めたのか、既に、産卵管を突き刺そうとしているが、長い産卵管をどのように狙いどころに突き刺すのだろうか。
 


ヒメバチの産卵-2:お尻を高く持ち上げ、脚を伸ばして尻を曲げて産卵管を胸の下にもってくる。さらに、触角で突き刺す場所に産卵管を誘導しているようだ。
 


ヒメバチの産卵-3:場所が定まると触角を外し、脚をを踏ん張って産卵管を深く差込んで産卵する。
 


ヒメバチの産卵-4:産卵を終えると、さらに他の場所に産卵する。

 

東谷津レポート その98

2011.6.4() 山梨 am9:30〜pm3:00 晴れ

 

今年は例年より梅雨入りが早い。今日は久し振りに晴れ、谷津田の周りの昆虫達も浮かれて出て来た様子、日光浴やら捕食やらに精を出していた。

『トビモンオオエダシャクの幼虫』
 暑いくらいの草原から雑木林に入ると涼しくてほっとする。樹間を抜けるそよ風に吹かれて少し休むことにした。気持ちよく休んでいる時も、目は虫を探している(虫好きの宿命だね)。近くのコナラの太い幹からちょこんと小枝が出ていて、そこに不自然な枯枝ある。樹間を抜ける風に、数枚の葉を付けた小枝が揺れるのだが、垂直に立ったその枯枝は、独自に揺れている。「ははーん、シャクトリムシだな」直感して近付いてよく見ると、案の定、太くがっしりした尾脚で枝をつかんで直立し、すっかり枯枝になりきっている本種がいた。頭部には1対の突起をもち、胸脚を折たたんでいる姿が子猫が何かおねだりしているように見えませんかな。ついに出会えた子猫ちゃん。

 


サトキマダラヒカゲ:平地から低山地で樹液や糞にあつまり、夕方活発に飛翔するとのことだが、久し振りの陽光に誘い出されたのか白昼に飛び出て来たようだ。
 


オオメナガカメムシの幼体:大きな目を持つこの虫はカメムシの仲間。幼体もこの通り大きな目である。捕らえたのはワタムシ(有翅型のアブラムシの仲間)のようだ、口吻を突き刺して食事中だ。
 


ゴミグモ:山際のコナラの幼木の間で、垂直に張った巣網の中央にゴミが付いていた。そのゴミにまぎれてクモがいる。ゴミグモだ。食べかすや脱皮殻、枯葉などを縦長にくっつけて、その中に陣取る。色合いや体形までもがみごとなまでに完璧にゴミに擬態している。付けているゴミが多ければまず見分けられないが、これはほんの少しだったので何とか見分けられる。
 


アオオビハエトリ:カリンの葉の上で獲物が来るのを見逃すまいと、尾部を中心にぐるりぐるりと輪を描いて待ち構える。獲物のアリを見つけると、後ろから攻撃し、逃げるアリの脚に噛みつき、放してはまた噛みついて、少しづつ弱らせて捕らえるのだそうだ。
 


こちらもハエトリグモの仲間(マミクロハエトリであろうか?)がササグモを捕えた。ハエトリグモの仲間は、巣網を張らず徘徊して、獲物を見付けると飛びついて捕らえる。同じく巣網を張らないササグモは不覚にも近付き過ぎてしまったようだ。
 


シロアシマルハバチの幼虫:体にロウ物質をまとった体長12ミリほどの小さなイモムシ。ハンノキの葉をむさぼり喰って一週間ほどで姿を消してしまう。
 


トビモンオオエダシャクの幼虫:蛾の仲間の幼虫だ。尾脚でがっちりと枝をつかみ、直立して枯枝になり切っている。幼虫期間が長く数カ月かけて成熟し、終齢幼虫はかなり大きくなるのだそうだが、この個体は4センチほどで若齢のようだ。頭胸部に特徴があるのだが・・・。
 


これがその頭胸部。どうです、おねだりする子猫にみえませんか?

 

東谷津レポート その97

2011.5.11() 山梨 am8:30〜12:00 雨

 

雨の日はついつい家を出るのを躊躇してしまう。だが、今日はモニ1000の植物調査の日、中止を心のどこかで期待して出かけた。集合場所に着くと、仲間が待っていた。調査決行、傍らで昆虫も探してみた。

『雨天の観察行』
草原では、花や葉の陰で雨宿り中の虫達がじっと静止して動かない。出会う虫達は、水滴を付けて耐えているようだ。カメラのレンズを近付けても逃げる気配もない。雑木林では、写真撮影の邪魔をする里山独特のそよ風もなく、雨水をたっぷり含んだ枝先が頭を垂れて「どうぞ見て下さいな」とでも言っているように、晴れのときでは見られない枝先を目線まで下げてくれる。

エゴノキを見てみよう。花はまだつぼみの状態だがたくさん付けている。そろそろあいつに会えるかもしれないと、重なりあった葉裏を一枚一枚みてゆくと、『いっいたあ!!』エゴツルクビオトシブミ、さらに、長い口吻をもつあいつ、エゴシギゾウムシが目の前で水滴を付けて動かない。そして他の雑木にも虫達が、雨の日の観察っていいものだと気付かされた。さあ長靴履いて飛び出そうぜ。 
 


シオヤトンボ(雄):シオカラトンボよりちょっと小型、雨にうたれtて静止している。雨の日は捕食者もこないと安心しているのかのようだ。
 


ヤブキリの幼虫:ヒメジョオン(ハルジオンかも)の花の下で雨宿りのつもりかも知れないが、体はびしょぬれだ。
 


トビイロツノゼミ:頭部の両脇に突起をもつ体長6ミリほどの小さな虫、スイバの葉の下側に陣取っているのだが、雨水が体の上を流れている。葉裏に行けばよいのになんて思わず声をかけた。
 


コミミズク:まだここまでは雨水は落ちて来ていない林間のクヌギの幼木で、竹べら状に長く突き出た頭部をぴたりと張り付けていた。
 


シモフリコメツキ(ヒメシモフリコメツキかも知れない):体に水滴がたくさん付いているのに動こうとしない。晴れた日には近付くとぽろっと落ちてしまうのに。
 


エゴツルクビオトシブミ(雌):エゴノキで揺籃をつくろうとしていたのか。体に水滴を付けて『作る前に雨が来てしまったわ』とでも言いたげに天をあおいでいた。
 


エゴシギゾウムシ:エゴノキの実に産卵するのだが、花の咲く前から来ているので、葉裏をじっくり探せば、長い期間見ることが出来る。いつもちょこちょこと動いて写真をとりにくいが、雨の日はこの通りだ。
 


カゲロウの仲間:翅脈からしてオオフタオビカゲロウであろうか。水辺のコナラの葉裏で脱皮したばかりのようだ。奥には脱皮殻が見える。長い2本の尾をどのように抜くのか見てみたかった。
 


ナミテントウの産卵:梅の木の葉裏をのぞくと、逆光の中に何やらの甲虫が食事中のように見えた。葉の間から近付くと、食事ではなく、ナミテントウが産卵していたのだ。

 

東谷津レポート その96

2011.5.2() 山梨 am10:30 晴れ

 

この時期なると、山道沿いには、ウツギの仲間やヤマツツジ、ガマズミの仲間などの低木が花盛りとなるのだが、今年は、間伐の下草刈りで切り取られほてとんど見られない。そんな山道だが、歩いていると何やらよい匂いがしてくるところがある。匂いは、沈丁花や金木犀のような強烈なものではなく、遠慮ぎみに春風にそよいでいるようにうっすらと爽やかに流れれてくる。辺りには大きな枯葉が落ちている。そう、ホウノキ、匂いはホウノキの花が出しているのだ。

『ホウノキの花』
開花すると直径が15センチにもなる大きな花で一見の価値がある。が、枝先に巨大な葉が開いた後に葉の上側に咲き、開花するとすぐに花びらを落としてしまう、おまけにホウノキは落葉の高木で、花もかなりの高所に付けるので簡単には見られない。花単体での開花は短いが、枝から枝へ次々と咲き続けるので、木全体では案外長い間花を付けている。双眼鏡を使ってみられるかもしれない。芳香も楽しんで欲しい。

『春うらら真最中』
水温んだため池でオタマジャクシがのんびり泳ぐ、草原ではてんとう虫が元気だ。見なれたナナホシテントウやナミテントウのほかにも見ることができる。今日は、2種に出会った。

ホタルの里の杉檜が皆伐されたところにコナラの苗木が植樹され、湿り気があるところにはハンノキの苗木がはんのう市民環境会議によって植樹されました。数年後は、雑木林に変わるでしょう。

(前回レポートの3枚目の写真はゾウムシの仲間ではなく、トビサルハムシでした。長い鼻は持ちません)
 

杉や檜が皆伐された斜面にコナラの苗木を植樹するはんのう市民環境会議の皆様。(4月24日)
 


ヤマルリソウ:湿り気のある林間に生える背の低い多年草。茎を伸ばして直径1センチほどの花を次々に開く。
 


ハナイカダ:なんと葉の中央に直径5ミリほどの小さく地味な花をつける。雌雄別株で、この木は雄株のようだ。雌株も同じく葉の中央に雌花を咲かせ、秋にはその場所に実をつける。
 


ホウノキの花:枝先の新しく出た葉の上部に咲き初めた直径が15センチもある大きな花、柔らかな芳香を放つが、花は長もちしない。
 


口を水面に出しパクパクしているのはアカガエルのオタマジャクシ、お腹の展覧会でもしているようだ。
 


ウスキホシテントウ:背中の星が黄色で体長が3ミリほどの小さなてんとう虫の仲間。数が少ないのだとのこと、出会えたのはラッキーだったのかも知れない。
 


ヒメカメノコテントウ:背中が亀甲紋のてんとう虫の仲間、こちらも体長が4ミリほどと小さいが、数が多いようで注意していれば出会える。雄は雌に言い寄っていたのか、雌の廻りをうろうろしていた。
 


クズノチビタマムシ:てんとう虫を追って行くと、葉の上に黒ごまのような点が目に入った。虫眼鏡でみると、頭が寸詰まったような独特の形、背中の模様、なんと本種であった。体長は3ミリほどと小さいが、体にはかすかに金属光沢があり、なるほどタマムシの仲間だ。

 

東谷津レポート その95

2011.4.22() 山梨 am10:30 晴れ

 

東谷津の草原は、うっすらと緑色に変わって来た。その草地をひとつがいのキジがもう1ヶ月近くも居着いている。雄は、時折スッと仁王立ちし、エサをついばむ雌を近付く外敵から守ろうと見張っているのだ。そして、『ケン、ケーン』と甲高い声を谷津中に響かせて自己主張だ。やがて緑深くなり子育てが始まると、この声も聞こえなくなる。

『待ち遠しいなあ、春うらら』
 このところ寒い日が続き、春だと勇んで出て来た虫達も出鼻をくじかれたようで、物陰や陽当たりのよい場所で動かないものが多い。ホタルの里では、ようやくアズマヒキガエルが恋をしようと山から下りて来たようで『ググウ、ググウ』と声がした。

 


キジのカップル:日本の国鳥である。エサをついばみながら草地を歩くカップル。直立して赤い鶏冠が雄、手前のが雌。



ビロードツリアブ:春真っ先に出るアブの一種、草原や林間で低く飛びながらのホバリングの名手だ。身体じゅうビロード状の毛に覆われて寒さ知らずのようだが、今日は地上の枯れ木の上でひなたぼっこのようだ。長い口吻は花の奥の蜜を吸うのに適している。



ゾウムシの仲間であろうか、寒さのあまり、自慢の長い鼻(口吻)を若芽の間に差込んで動かない。隠れきれない目がすねているようで、なんとも愛らしい。



ヤトセスジジョウカイ:ヒメジョウカイかもと思ったが、ズームアップして見ると、脚の先の爪が2つに別れていないので、本種のようだ。ジョウカイボンによく似ているが、こちらの方が体長10ミリほどとかなり小さい。



カワゲラの仲間:川岸に生える低木の枯れ葉の間で暖をとっているのかな。幼虫時は水中で過ごし、春を迎えて陸上に上がって飛行可能な成虫になったのに、この寒さでは飛びたくないようだ。カメラを近付けると逃げ出すが、すぐにこの位置にもどってくる。



こちらは寒さ知らずのようだ。枝の間に張った網の中央で獲物を待っている。が、よく見ると、頭部と腹部の間に何か寄生生物が付いている。この生物の栄養分も摂らなくてはならないので、休んでははいられないのだろう。(ムツボシオニグモの幼体かもしれない。体長3ミリほど)

 

東谷津レポート その94

2011.4.11() 山梨 am8:30〜pm12:30 晴れ

 

「ケッケッケッケロ」山に囲まれた谷津にシュレーゲルアオガエルの鳴き声が響きわたり、水辺ではオタマジャクシが泳ぎ回る。雑木林では芽吹きの早い木々が新芽を大きく膨らまし、草原ではヒメウズ、キランソウ、クサボケなどが花を咲かせ始めている。早春、アカガエルは冬眠から目を覚まし、産卵を済ませるとまた再冬眠に戻るというが、私もその卵塊を見届けると眠ってしまったようだ。そう本日が私の啓蟄なのだ。

さいわい、谷津の春の訪れも今年は遅れているようで、諏訪沢入りと天覧入りのふたつの谷津ともアズマヒキガエルの卵塊は見られない。トウキョウサンショウウオの卵塊もホタルの里の田んぼ廻りでは全く見られない。例年ではもうとっくに産卵されている時期なのに。昨年から今年の冬にかけて、天覧山、多峯主山全域で重機を使った大規模間伐が行われ、春から夏にかけて花を付け、たくさんの昆虫やその昆虫達を捉える生き物達の生活の場となっていた低木は、下草刈りとしてすっかり刈り払われて住環境が変わってしまった。その影響でなければよいのだが・・・。今年は、そんな中での生き物達を見続けて行こうと思う。
 


ヒメウズ:枯葉色の草原にいち早く咲く、直径5ミリほどの小さな小さな花。背も低く注意していないと見逃してしまいそうだ。花は下向きに咲くため、この写真は上向きにして撮った。こうしてみるとオダマキ属であることがよくわかる。
 


カタクリ:林間で花茎を伸ばし気高く咲いている。そり返った5センチほどの花びらとその基部のW字形の濃紫色の斑紋が高貴な雰囲気をよりかもし出しており、思わず見入ってしまう。
 


ウリカエデ:間伐で下草刈りされた雑木林に残っていた幼木に花を付けていた。雌雄別株であり、この木は雄株(雄花)のようだ。
 


ミヤマセセリ:この時期、雑木林の山道を歩いているとよく見かける。路上によく留ってくれるのだが、この日は何故か羽の模様をよく見せてくれなかった。次の機械にお願いしてみよう。
 


ハナグモ:通常草木の花の中や裏で、蜜を吸いにくる獲物を待ち伏せして捉える戦略を使うが、この個体は全く花気のないハンノキの若芽でハエを捕らえていた。数少ない獲物を逃してなるものかと、上あごでハエの眉間をしっかりとくわえ、触肢で頭部をつかまえてている。

 

東谷津レポート その93

2011.2.8() 山梨 am10:00〜pm3:00 晴れ

 

『多目的石窯つくりー15』
石窯づくりもとうとう表面の装飾を残すのみとなった。前面にモザイク模様を付すのだ。ホームセンターで購入した平らな石や、壊れた植木鉢の破片を小さく砕いて張り付ける。下部は模様を意識せず張り合わせたが、これでは面白くない。『上部はデザインしようよ』と遊び心が入ってきた。昼食を終え早速考える。『やっぱ太陽でしょ』『月も出てていいよね』『大きな木も入れよう』『満天の星空も』皆勝手なことをいいながら地面に描く。結局、皆入れることになった。(次回の定例作業は2月27日日曜日、総仕上げ)

『アカガエルの卵塊』
ここ2、3日暖かい日が続いた。昨日の夜は雨も降ったらしく、路面が濡れている。こうなれば条件は揃った、もしやの思いで、窯つくりに入る前に池を見てまわった。1つめの池ナシ、2つめの池ナシ、まだなのかな、3つめ池『来たあ!!(最初の卵塊を見た時は思わずこう言ってしまう)』池の中にあった黒っぽい塊が目に入った。アカガエルの卵塊が5つ、朝日を受けて表面が光った。『誰の卵だろう』同定のためにそっと触れてみる、デレっとしている、ヤマアカガエルの卵塊であった。気の早いフライング組のものだ。この週末は雨か雪だと言う、おそらく来週の初めには一斉に産卵された多数の卵塊が見られるかも知れない。(暖かい日が数日続き、雨が降った翌日に産卵される確立が高い)運が良ければカエル合戦が見られるかも知れない。
 

下部の装飾:まずは下部の装飾。扉廻りは特に神経を使う。
 


画材つくり:購入した平らな石や、壊れた植木鉢の破片などを更に細かくしてジグソーパズルのように貼付けて行く。おもい道理のものが無ければ、荒い整形もする。
 


上部の装飾:慎重に考えた?末、中心である太陽がレイアウトされると・・・・・。
 


モザイクたけなわ:インスピレーションでモザイク画はどんどん進む。(面白さに写真を撮ることを忘れてしまった。トホホ)
 


モザイク画完成:終わってみればこの通り、大地には大きな樹、大空には太陽、月、満天の星。何やら不思議な世界が現れた。
 


アカガエルの卵塊:池に産卵されていたアカガエルの卵塊。今冬の初物である。
 


ヤマアカガエルの卵塊:触れてみるとデレとしていた。ヤマアカガエルの卵塊だ。寒天質のつぶつぶは透明度が高く、汚れていないとろろをみると昨晩あたりに産卵されたもののようだ。

 

東谷津レポート その92

2011.1.29() 山梨 am10:30〜pm3:30 晴れ

 

『雑木林の虫探し-3 "ついに撮ったぞ!!"』
久し振りに天多回廊を歩いてみた。多峯主山付近と回廊西端の御獄神社付近が間伐されたと聞いて行って見てみようと思い立ってのことだ。勿論、途中途中通りすがりの樹木を昆虫が居ないかとチェックしながら歩く。これが癖になってしまったようだ。御獄神社のまわりは大きな楠などが切り倒されて視界が大きく開け、まるで別の場所に居るかの如きだ。この季節に歩きながら昆虫が見付かるはずもなく、山を下りて南路に出た。この南路は鋪装された車道を歩く退屈な道、とうとうシャッターを一度も切らずに回廊歩きも終わってしまった。

家への帰路、飯能河原で虫友(虫好きの友人)に出逢った。河原の端のエノキの大木の下で『この木の根本にもオオムラサキの幼虫が居ますよ』『えっ、これエノキだったんだ』虫友はめざとく幹廻りまで見たようで『あっ、フユシャク』とカメラを近付ける。フユシャクは冬活動する、サッと飛び立ち、ぎこちない飛び方で川側へ『ああっ、川に落ちるう』『おおっ、向きを変えた。またこっちに来るよ』目で追っていたのだ。フユシャクは、大きく迂回してまたもとの木に戻って来たのだ。何かに引かれるように。雌のフェロモンが残っていたのだろうか。ようやく私の目に映ったフユシャクはボロボロになっていた。先を急ぐ虫友と分かれ、坂道を上って行く、どこにもある”犬のフンは、きちんと飼い主が始末しましょう”の注意書き、柱に何か留っている。さっきのとは別種のフユシャクのようだ。今度は逃げられないように、まずは遠くから数枚の写真を撮った。待てよ何か変だぞ、また鳥の糞でも撮ってしまったかな。そっと近ずく、『ふふフユシャクの交尾だあ!!』雄の羽根の下から、羽根のない雌の頭部が見えていたのだ。気が付くと背後に人の気配、先ほどの虫友だ『フユシャクの交尾だよ。ほら見て』『ええっ、まさか見られるとは!!』そう通常フユシャクは真夜中に交尾すると言う、この時間にまさにフェロモンが結び付けていたのだ。見られないと思っていたが、見てしまった。撮れちゃったのだ。

(フユシャク:真冬に羽化して成虫となり活動するシャクガの仲間の総称、日本に36種いるとのこと。雌は羽が退化するか縮小して飛ぶことができない。そのため雌はフェロモンを出して雄に居場所を教え、雄はそのフェロモンに誘導されて雌を見付けて交尾する。夜行性のため交尾も通常夜行われる。)
 


アオツヤカメムシ:何故か吹きさらしの公園の柵のくぼみににいた。昼の陽光に誘われて冬の居場所から出て来たのだろうが、急激な冷え込みで身動きできなくなってしっまたのだろう。
 


シロフフユエダシャク(雄):文中の迂回飛行した同種のもの。右上のつぶつぶはヤママユガ(ヒメヤママユガかも知れない)の卵塊。
 


クロテンフユシャク:看板の柱に留っていた。なんだか形が変だ『羽の下に何かいるぞ』逃げられないようにそっと近付いてみると・・・。
 


なんとクロテンフユシャクの交尾だ。雄の羽の下にいたのは、羽を持たず飛べないなんとも愛らしい姿の雌であった。雄は雌の出すフェロモンで吸い寄せられたのだ。それにしても色気の無いところに吸い寄せられたものだ。

 

東谷津レポート その91

2011.1.23() 山梨 am9:30〜pm3:30 晴れ

 

『多目的石窯つくりー14 初窯まつり』
 今日は多目的石窯の完成を祝ってのお祭りだ。石窯は表面の美的装飾やヒビの修復を残してはいるが、ピザやパンを焼くには全く問題なきまでに出来上がった。朝から人寄せの準備に入るが何人来てくれるものか見当も付かない、足りないことのないように4〜50人は来てくれるだろうの皮算用で準備する。里山の朝日を背に受けて窯に火を入れる。煙の吸い込みをよくするため、煙突を長くしての試みも当たったようで、白煙は瞬く間に消え完全燃焼に移った。厚さ17センチの焼き室全体を暖めて、その輻射熱で焼くのだ。暖めるのには時間がかかる。その間に女性陣はせっせとトッピング材を準備し、生地を伸ばして整形に大わらわだ。

やがて1人2人と集まり始め、窯はフル回転、数分で焼き上がり、気が付くとわいわいと皆里山ピザをほうばって、あれやこれやの歓談。堅い挨拶もなくまつりは何時しか始まっていた。

この次期の谷津は陽が落ちるのは早い、午後2時にもなると山と山とに挟まれた谷津は日影となり、西側の山の影が、反対側の雑木林の斜面を駆け上がって行く。このころになると『ごちそうさまあ』『すっごくおいしかったあ、ありがとう』楽しかった1日が終わった。
(次回の定例作業は2月8日火曜日、仕上げ作業)
 


朝の準備:朝の陽を背に受けて準備に取掛かる。窯にも火を入れ、焼き室を暖める。
 


トッピング類:今日使うピザのトッピング類だ。何種類あるだろうか、机いっぱいにひろげられた。
 


生地のばし:昨日のうちにつくっておいた生地を伸ばして整形する。何せ、50人分つくるのだ、手際よくやらねば・・・『ああっ、穴があいちゃったあ』誰だ手間どっているのは。
 


盛り付け:丸く整形された生地の上にトッピングを盛り付ける。皆勝手に楽しんでいるようだ。目は次のものを探して『どれにしようかな』
 


窯入れ:好きなものがトッピングされたピザが1枚1枚と焼き室に入って行く。
 


焼き具合:焼き室の中ではこの通りピザ、ピザ、ピザ。これらは数分で焼き上がる。『早く写真、写真撮って』『ううっ』思わず生唾を飲み込むカメラマン。(可哀想にカメラマンはしばしお預けなのだ)
 


煙突の長さ調整:前回の試し焼きで顕在化された煙突の吸い込みの問題、煙突を長くして解決したようだ。長くなった煙突を4方向から針金で固定する。
 


窯出し:食べごろに焼き上がったピザを取り出す。"至極の時"だ。
 


参加者達:石窯の魅力なのかな、老若男女51名も集まった。皆それぞれに楽しんでいる。